ご縁
'2018-11-05 13:21:37')
いつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。
呉服屋の仕事の中では、ご縁の話が良く出てまいります。
お客様との永いご縁が出来ますのも勿論ではありますが、
品創り、紋や刺繍の加工もの、仕立て、染み抜きや洗い張りなどの職人さん・・とのご縁も、
呉服屋に取りましての大事なご縁となります。
この週末に、玉川屋の店にて染めの実演をお願いする
東京の染色作家の「や万本 遊幾」さんも、親同士の代からのご縁のある
お繋がりとなります。
や万本さんも、ご実家が老舗の呉服店であり
東京の呉服店の組合である「きもの呉盟会(東京呉服専門店協同組合)」にて
お父様が、私の父の先輩に当たる方でした。
私の父が若い頃には、仕事の事で分からないことがあると
よく電話をして、相談に乗ってもらった・・・そんな風にも聞いておりました。
ご本人はその後、染織の道へと進み、
加賀での修行の後に東京へ戻られたからもまたご縁があって
現在まで玉川屋の品揃えにご尽力を頂いております。
着物の染めは分業制・・とのイメージもつよいですが
下絵、糸目、糊伏せ、友禅、地染めと言った各工程が分業制となる京都の染めと異なり
東京では、大部分の作業を自身で行うことが多く
「模様師」とも呼ばれて、ひとりひとりが作家的に、それぞれの作風を持っての品創りとなります。
下絵を描いて、それを相談しながら修正をして、図案を決定して
地色を決めて、挿し色の雰囲気を決めて、仕上げの仕方を決めて・・・
各工程を相談しながら染め上がりのイメージを共有して、一つ一つの着物や帯を染めてまいります。
東京でも、京都でも、基本的に染めの各工程は共通ではありますが
一貫作業である分、また地理的にも遣り取りが近い事もあり
レスポンス早く、作業が進んでまいりますので、
玉川屋では東京の模様師さんに、染めをお願いすることも多くなります。
そうした東京の模様師さんの中でも、今回実演をお目にかける「や万本 遊幾」さんは
特に繊細な糸目(柄を縁取る白い線の部分)を描く作家さんであり、
単にテクニック的な技法の特徴だけではなく、構図、色遣いとった表現力においても
着物ならではの品の良さと、個性ある作風が、ご覧を頂ける事と思います。
通常は、玉川屋の注文にて、
下絵を描いてもらう所からスタートして着物や帯を染めてまいりますが
同じ様に下絵からお客様のご要望のイメージをお伺いして、誂えにてお染めをさせて頂くこともあります。
(蛇足ながら、
誂えると、お値段がとても高くなってしまう・・ 、誂えのお話しをするとそんな声も良く伺いますが
お仕事の分量が極端に変わらなければ、基本玉川屋にてご用意するお品と、
それほど変わることはありません。
下絵を一緒に見ながら相談したり、進み具合を確認したり・・といった、お時間だけは頂戴致しますが
誂えのご注文の場合は、その経過もまた、お楽しみだったり、よりいっそうの愛着に繋がったりも致します)
ご自分の想いのある着物や帯を、永く大事にお召しになる・・
日本の着物ならではの楽しみ方でもありますので、どうぞご相談下さいませ。
(染めのお誂えは、着物や帯のみならず、
羽織やコート、長襦袢、羽裏、八掛、半衿・・ 何でもお承りがさせて頂けます)
秋の良き陽気ともなりましたので、
精緻な東京の染めと、着物ならではの品創りの楽しさをご覧に
どうぞお気軽に、玉川屋へお遊びいおいで下さいませ。
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や万本 遊幾 「彩密友禅の世界」
11月9日(金)・10日(土) 渋谷・玉川屋呉服店にて
ご案内もこちらより
http://www.tamagawaya.info/exhibition/
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一つ一つのお品を通じて、お着物ならではのご縁を感じて頂き
折々のお出かけが、いっそう楽しみとなりますことの
一助となれば幸いです。
「着物つれづれなるままに」・・いままでの目次には、こちらから
今の季節を楽しみたい・・玉川屋のホームページへは、こちらから