季節のことば
'2008-04-05 12:51:53')
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つれづれ
こんにちは、
皆様いつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。
桜の花も咲きそろい、春本番となってまいりました。
先週末の寒さや雨風で、散ってしまうかと思いきや
今年の桜は強いようで渋谷の玉川屋の周りでも、まだずいぶん綺麗に咲いております。
3月に入ってから思ったより寒い日が続き、開花もゆっくりとなりましたので
その分を取り戻すかのように、しっかりと咲いているような今年の桜です。
先日お店でお客様とお話をしておりまして、俳句の季語について伺いました。
「甘酒って、いつの季語だと思います?」ときかれて
1月の成人の日に、渋谷の道玄坂のイベントで餅つきをする時には
温かい甘酒がとても美味しく、皆さんに喜んで頂いていたのを思い出しながら
すぐに「冬」と答えましたのですが、
実は甘酒の季語は「夏」でした。
調べてみたら、
今のように冷蔵庫のない江戸の頃には、夏場にはものも腐りやすく、
それが原因での病も多く、亡くなる人が一番多かったのが夏の季節だったようです。
麴を材料に一晩でできあがり、作ってすぐに売ることのできる甘酒は、
水分と栄養分を補給する飲み物として夏バテ防止にも重宝されていたようです。
そんな事から、甘酒は別名を一夜酒(ひとよざけ)とも呼ばれておりました。
天秤棒にかついで「甘いっ、甘いっ」と甘酒を売り歩く声は、
クーラーも冷蔵庫もない夏の猛暑をのりきる知恵としての
江戸時代の夏場の風物誌であったようです。
季節感を大切にと思いながら、着物の柄や取り合わせなどを考えてまいりますが
漠然とイメージで思っている季節感に比べて、
俳句の季語ではまたさらに丁寧に細分化されています。
同じ花でも、その状態や部分によって、季節が変わってもきます。
たとえば、桜の花や蕊(しべ)は春の季語、葉桜となると夏の季語・・
梅も、梅の花は春の季語、梅の実や梅酒は夏の季語、
(その夏の季語の中でも梅酒より梅の実が先の時期の季語となってまいります)
蝉(せみ)も種類によって、油蝉やミンミン蝉の様に賑やかに鳴く蝉は夏の季語、
蝉時雨や空蝉(蝉の抜け殻)なども夏の季語になります。
同じ蝉でも、法師蝉(つくつく法師)や蜩(ひぐらし)は秋の季語になるそうです。
じっさいの分類的には、
蜩(ひぐらし)が6月の末頃から一番先に鳴き始め、そしてミンミン蝉や油蝉、
そして8月に入ってからつくつく法師がなくようになるのですが、
確かに、鳴き声を思い浮かべてみると、
うるさいほどに鳴く蝉と、しみいるようにちょっと物さびしい感じでなく蝉と
夏から秋へとうつる季節を感じさせてくれる気もします。
ちょっと面白いのは朝顔、不思議なのですが
「朝顔の花」は秋の季語なのですが、「朝顔市」は夏の季語、となるそうなのです。
花のイメージからくるものなのか、花の咲く時期を新暦と旧暦とでの表記によるものなのか、
またしっかりと勉強してみてからご報告、と思います。
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来週末の、4月11日(金)、12日(土)、13日(日)とは、
東京・港区の御成門にあります「東京美術倶楽部」にて
都内の老舗呉服店42軒が集まりましての「春のご奉仕市」を開きます。
それぞれのお店が、普段から自分のお店に飾っているお品をそれぞれ持ち寄りまして
いつものお値段から2割引から半額以下での大ご奉仕となるのですが
面白いのは、42軒がそれぞれのお店のブースを持つ見本市のような形式ではなく
”小紋” ”染帯” ”訪問着” ”振袖”・・・といった具合にそれぞれのお品の種類ごとに
42軒分のお品が一緒に集めておいてあるのです。
どこのお店のお品・・という事を意識せずに
沢山のお品の中からご自分のお気に召したお品を見つけていただくことが出来る!
そんなご奉仕市であります。
お洒落着や礼装、季節に一足早い夏物や男物、そして小物・・・と
老舗選りすぐりのお品が何でも沢山に揃って
お着物お好きな方はご覧になるだけでもお楽しみな事と思います。
毎年ご好評を賜りまして、おかげさまで今回で51回目を迎えます、
是非お気軽にお遊びにおいで下さいませ。
詳しいご案内や会場のご様子も・・・・こちらでご覧下さいませ
▲ご来場には、ご案内状が必要となります、
上のご案内のページより、お申込フォームにてご連絡下さいませ。
ご案内状をすぐに郵送させて頂きます。
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季節感というと、時候や天文、花や植物などがまず思い浮かんでまいりますが
日常の色々なものにも、それぞれの季節があります。
(季語で言うと、石鹸玉やブランコなども春の季語になります)
身の回りのものに、自分で季節を見つけてみる・・
そんな事を普段にも思ってみると、ほんのちょっとした事にも
いまの季節や、季節の移り変わりなどを、きっと感じる事が出来る事と思います。
この春は、お着物とご一緒に、そんな季節感をお楽しみになって下さいませ。
今の季節を楽しみたい・・玉川屋のホームページへは、こちらから