こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。
4月の始めに、お嬢さんの小学校の入学式。
洋服で出席と思っていたのだけれど、
直前になってみて「やっぱり、着物で」・・と、
お手持ちの訪問着に合わせる袋帯を持って
今晩はお客様にお伺いしてまいりました。
「やっぱり、着物で」
数日でお仕立ても間に合わせなければならず
けっこう慌ただしい段取りになるのですが
ご自分の大事な日には、お着物でと思って頂けますことは
呉服屋からすると、とても嬉しいことであります。
以前にお作り下さった訪問着は、品のよい落ち着いた雰囲気でしたが
帯が少し派手になってきていて、もし着るのなら違う帯で・・
でも、新しい帯を作るのも急な出費で・・ 色々と迷いながらも、
これから先々、お使いになりやすい帯をご覧になって
お手持ちのお着物がまた違う雰囲気で、着こなして行けることをご覧頂けると
お子さんのことで忙しくすごされている中で忘れていた
お着物の楽しみを思い出して頂けたようでした。
その新一年生になるお嬢さんも、この秋には七歳のお祝いです。
お話ししているうちに、七五三のお祝い着のお話にもなり
お母さまがお若い頃にお作り下さった総柄の小紋のお着物を
出してきて下さいました。
「新しい祝い着を作るのも良いけれど、
このお着物にもとっても愛着があるので、使えるかしら?」
お袖丈を2尺近く取ったお仕立てですので
お仕立て直せばお祝い着にもお使いが頂けます。
華やかさのある総柄でしたが、挿し色がすこし大人っぽい色でしたので
八掛を可愛らしい緋の色に変えて、
帯や小物、重ねの衿にも可愛らしい色目を添えて・・
そんなお話をさせて頂きました。
祝い着の時に仕立て直してしばらくお召しになった後は、
大人の並寸法でまたお仕立て直せば、十代のお着物としてお召しになれます。
そして、今付いている八掛を付けてまたお仕立て直して
お母さまがお作り下さったご年代まで、また大事にお召しになって
その後には、ちょっと華やかな羽織に仕立てる事も出来ますし、
お嬢さんが生まれればまたお祝い着にも・・・と
お話は、キリなく続いてまいります。
お婆さまの代からお付き合い頂いております
数年ぶりにお会いさせて頂いたお客様と、
また次の世代にまで続くそんなお話をさせて頂くと
お着物ならではのご縁や、おつながりを
あらためて感じさせて頂けます。
私が歳をとって、
今日はまだ小さなお嬢さんが、お母さまになった頃に
またこんなお話が出来るのかな、などと思いながら
帰り道に仕立屋さんに急ぎの仕事を届けてまいりました。
お着物を通じて、よい思い出作りやご家族の繋がりの
お役に立つことが出来れば幸いです。
お祝い着だけではなく、お着物に関してのご用は
どうぞ何でもお気軽にご相談下さいませ。
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