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越後上布の糸

こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

越後の産地を訪ねました時の話も、今回で9回目となりますが
もう数回、お伝えのほどを・・・


   01.jpg

今日の写真は、重要無形文化財に指定されている「越後上布」の糸です。

麻の繊維を細く裂いて、結んでつないで、
一反を織り上げるのに1300メートルの糸が必要と伺った事があります。

特別長い訳ではない麻の繊維を、
均一な太さになるように細く裂いて揃えて、そしてそれをつないでゆく、
絣作りや、織る過程もさることながら、
この糸作りの工程が重要な部分を占めてまいります。

糸の出来上がりが良くなければ、いくら織り手が良くても
上質な品には織り上がらないのです。

   02.jpg

写真は、縞々の絣も染められて、糊付けをされた
越後上布の糸になります。
糊付けがされておりますので、
まとまりよく、少し光沢もあるように見えてまいります。


実際に、作られたばかりの麻の糸は、下の写真のように
まだ繊維が毛羽だった状態になっております。

   03.jpg


これを糊付けするのですが、その前に絡みやすい毛羽だった糸を
整えて巻き取り直します。

   04.jpg    05.jpg


巻き取っててゆく途中にも糸は絡んで、
その度に根気よく根気よく、糸を丁寧に解き直しながら
進めてまいります。

「糸」と一口に言ってみても、
単に繊維が繋がっただけの状態の"糸"から、
上質の上布を織り上げる事が出来るまでの"糸"、にするために必要な手仕事のこめ方を、
本で読んだり、話で聞いたりはしておりましたが
一つ一つを自分の目で見ていると、あらためて気持ちに深く感じるものがあります。











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絣 (かすり) 糸

こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

織物の柄を織り出すには、
絣と呼ばれる、縞々の糸が基本となります。

2色の組み合わせであったり、数色の色使いであったり
縞々に色を組み合わせた糸を
縦横で織り合わせる事によって、
模様や柄が表されてまいります。

染めない部分を他の糸で巻く括 (くく) りや、
防染用の糸と一度仮り織りをする締め機、
溝を掘った板で糸を挟み込む板締め、など
絣糸の作り方も色々ありますが
一つの方法に木羽 (こば) と呼ばれる方法があります。

   01.jpg

写真は、織り上げたい図案を写し取った
木羽定規 (こばじょうぎ) と呼ばれる型板になります。


写真の型板の色合いは、
実際の出来上がりの色とは違うのですが
糸に染め付ける時のそれぞれの色の境目がはっきり分かるよう
コントラストを強めて色づけをしてあります。

   02.jpg

そのため、最初のイメージを表したした図案の草稿と型板とでは
随分違ってもまいります。


   03.jpg

型板は、実際には薄く割った数十枚の板に分割してあります。
薄い一枚の板だけ見てみると、
縞々の色の組み合わせになっているのがお分かり頂ける事と思います。

パーツごとに分割をした色の組み合わせにあわせて
各部分ごとの糸に、染め上がりの色をすり込んでやります。

そうして数色の色を刷り込んだ縞々の糸を
組み合わせて織り上げると、最初にイメージした図案のように
一反の着物や帯が織り上がってくるのです。


至極簡単な説明だけではありますが、
一つの品が出来上がるためには、
いつも書くように、一つ一つ丁寧な手仕事の工程があるのですが
その一つ一つの工程は、
どの織物も同じように一様に同じな訳ではなく
それぞれの伝統にもとづき、それぞれに技法や趣きがあります。


私どものお店にも、着物や帯、お品が並ぶ時には
お洒落を楽しむ一つのアイテムとしてご覧を頂くようになります。


一つ一つのお品について、
その背景を全部その場でご説明する事はなかなか出来ませんが、

奥深い思いや伝統があってこそ、
今そのお品を手にとってご覧を頂けていること、を
お店で感じて頂ければ、
それが、楽しくそして永く大事にお品をお召し頂ける道とも思います。










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色の深まり


こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

   02.jpg

しぜんな濃淡のある深い色合いではありませんか?

薄いやわらかな雰囲気の染め上がりだった柿渋の糸も
数時間のうちに発色も進んできます。


   01.jpg

鉄分のある水につかっていたところだけが
反応して発色しているのですが
その色合い、濃淡の差がよく分かる事と思います。



   03.jpg

工房を後にする時に、水槽から出した糸を見せてもらいました。
実際には、濃く染め上がればよいという訳ではなく
織り上がりのイメージに合わせて
その色具合や濃度をコントロールする事が必要になってまいります。


   04.jpg

一つ一つの工程にも丁寧な仕事と心遣いがこもり、
図案や意匠、それに合わせた糸作り、織りや仕上げ・・と
いろいろな各工程、それぞれが上手く組み合わさってこそ、
着た時に楽しいお品が出来上がってくるのです。










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鉄の臭い

こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

昨日の、柿渋の染めのつづきを・・


汲み上げた水には鉄分が含まれていて
その水に生地を浸けてやる事で "鉄媒染" の作用がある、と
昨日のページに書きましたが、

実際、桶に溜めた水を手にすくって
鼻を近づけてみると、鉄っぽい臭いがしっかりと感じられます。

鉄っぽい臭い、といってもピンとこないかもしれませんが
鉄菅や、鉄で出来た大きな扉、など
普段はあまり感じる事はないとはおもいますが、
「あぁ、そういえばこれが鉄の臭い」
そんな事が思い出されます。


   01.jpg

染めた糸の束を、汲み上げた水に浸けてやります。


   02.jpg

水の中に浸けてやって、ゆっくりと動かして・・


   03.jpg

見ているうちに、色がしぜんと浮き上がってきます。
鉄媒染での発色は、ちょっと青味がかった綺麗なグレー、
そんな色合いです。


   04.jpg

ほんの数分の間ですが、色合いが深まって行くのが
写真でもお分かり頂けますでしょうか。

一つの糸の束でも、浸けた時の水の辺り方で
色の発色の具合も均一ではありません。

何度か水をくぐらせるうちに、色を整えてみたり
逆にその、微妙なグラデーションを織り上がりにまた楽しんでみたり、
それがまた、楽しみの一つでもあります。


この後に、他の工程や図案などを拝見したのですが
帰る間際に、最後にこの糸の束を、もう一度見せてもらいました。

その時の、更に染め上がった深い色目・・
また明日ご紹介させて頂きます。










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鉄媒染

こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

暦の上では立秋・・時候の挨拶ではありますが
夏もちょうど盛りの時期であります。

明日からは16日(日)まで、お店をお休みさせて頂きます。
休みが明けると、薄物や浴衣から、秋や冬のお品へと
お店の中を徐々に模様替えしてまいります。

季節の移りに、一歩早めの・・・
そんな玉川屋を、また楽しみにしていて下さいませ。


越後の産地探訪のつづきを、

草木の染めの過程で、「媒染(ばいせん)」と呼ばれる工程があります。
植物の染液で染めただけでは色の発色や定着が安定しませんので、

そこで、水に溶かした金属類で、染液中の色素の固着や発色を手助けします。

鉄媒染、アルミ媒染、銅媒染・・使われる金属分により、
同じ植物の染液からでも発色する色合いが違ってきます。


   01.jpg

そこで、上の写真なのですが
何の写真かお分かりになりますか?

" 白とオレンジに塗られた、道路のライン " と、見える事と思いますが
この写真が何か?

本来は、全部白に塗られたラインだったそうですが
色を塗ったのわけではなく、
地下水に含まれる鉄分が変色してオレンジに色づいたのだそうです。

鉄分が含まれた水をくみ上げて、柿渋で染めた糸を浸けてやることで、
それがしぜんと、上で書いた " 鉄媒染 " の工程となってくるのです。


実際に、糸を水に浸けた時の様子はまた明日に・・・









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