玉川屋の思う 浴衣の楽しみ方
'2007-06-22 16:14:54')
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つれづれ
皆様いつも有り難うございます、
玉川屋呉服店の石井貴彦です。
夏本番のような暑さかと思うと、今日は朝から雨模様・・と
梅雨時のはっきりしないお天気が続きますがお変わりございませんでしょうか。
6月の初めからはお店には絹や麻の薄物に加えて
浴衣もお店にお揃えしてお目にかけております。
浴衣の反物は1月や2月に染め見本を見ながら注文をして
4月の末頃に染め上がりました反物を、お店に並べてあります。
デパートなどでも、仕立て上がりの浴衣も沢山ならび
お選びになるのも、色々見てから今年の一枚を・・・という方も多いことと思います。
近年の浴衣は、お洋服のアパレル的な発想からのお品も多いので
"今年の流行はこんな柄”と、数パターンが決まると、その風のお品が中心になって
ファッションとしては楽しい部分も多いのではありますが、
何年かそういった浴衣をお召しになってみて、「やっぱり涼しげな古典の浴衣を・・」
そんな風に思って足をお運び下さるお客様が、私共には多くなってまいりました。
お目にかけるお浴衣の雰囲気や趣きも、毎年大きく変わるわけではなく、
逆に、気に入っている柄は毎年染めてもらうお品もあったりします。
帯合わせや小物の合わせ方
(半幅帯を使ったり、お太鼓に結んだり、帯締めや帯留めを合わせたり・・)
また、
衿あわせや衣紋の抜き方、着た時の丈、ちょっとした仕草・・・
着物と一緒で、 単に浴衣の見た目だけを楽しむのではなくて、
着た時の全体の雰囲気こそが、涼しげな夏のお洒落な着姿でもありますので
すっきりとしたシンプルなお品をコーディネートして着てみるのが
自分ひとりだけの、その方ならではの雰囲気で、
夏のお出かけを楽しんで頂けることと思います。
よく、「浴衣を格好良く着るにはどうしたらいいの」
「同じように浴衣を着てみても、友達の着姿の方がしっくり着ている」
といった、お話をお店で伺うこともあります。
そんな時には、
「色や柄もさることながら、ご自分にあった寸法を・・」
と、お答えをすることが多いです。
今は、仕立て上がりのお浴衣が多いので、
すぐにお召しになれて手頃ではよいのですが
近年の女性の体型とすると、以前に比べて
背が高く、手が長く、という方が増えておいでです。
全体に大柄というのではなく、身丈や裄は長めに必要だけれど、
身幅はそれほど大きくなくても本来は大丈夫・・・
という方が多いことと思うのですが、
既製の浴衣ですと、どうしてもご身長に合わせた身丈に伴って幅も広めになることが
多いようです。
以前に比べると、仕立て上がりのお品もサイズのバリエーションが増えてきましたが
お好みの色や柄で、自分にぴったりの寸法・・というと、なかなか見つからないもの
でもあります。
丈や裾のあわせについては、お端折でまだ加減を取ることが出来るのですが
幅が広くて困るのは、衿あわせの部分になってまいります。
張りのある木綿の生地ですと広めの幅でお召しになると
どうしても胸元が綺麗におさまりにくくなります。
普段お着物を着慣れている方ですとまだしも
「着物には興味があるけれど、まずは浴衣からスタート」 という時には
なかなか思うようにすっきりと決まりにくいかもしれません。
初めてだから手軽なものを・・・というのもよいのですが、
着始めだからこそ、きちっと着やすいお品をご用意されてみると、
お召しになってお出かけをする楽しみが増えるのではないかと思います。
しっかりした生地の反物で、ご自分の寸法にあったお浴衣を
愛着を持って長くお召し頂くことも、とても楽しみなことと思います。
「呉服屋さんで浴衣を作ると、ずいぶん高くなるでしょ・・」
浴衣の棚をご覧下さる方に伺うと
そんな風に思われている方もとても多いのですが
古典調の浴衣で、ご自分の寸法でお仕立てあがって3万円くらいからになりますので、
一般に売られているお品に比べて特別高額になることもないはずです。
もちろん、ユニクロさんなどのとてもお手軽なお品もありますので
ご自分の思いに合わせて、実際に色々なお品を手にとってご覧になりながら
お選びになってみてください。
思っている以上に浴衣の生地も色々な地風があることが分かって
面白いかもしれません。
お浴衣を選ばれる時には、ぜひ呉服屋さんもちょっと覗いてみて下さい。
お客様方とお話をしていると、着始めの頃から、着慣れてくるまで
自分の思いや、お選びになったお品など、浴衣一つにも色々な変遷があって
楽しいものです。
そんなお話、是非させて頂ければと思います。
ブログ形式にする前の「着物つれづれなるままに」のページは < こちら > から