皆様いつも有り難うございます
玉川屋呉服店の石井貴彦です。
3月11日の震災より一月が過ぎ、
この週末には、東京でも各所で桜の花が咲き揃いました。
人の世で、大きな出来事があっても
それでも、季節は巡り、
つぼみは膨らみ、花は色づいてまいります。
そんな、大きく巡る季節の流れの中で
被災された地域の皆様が、少しずつでも、一日でも早く
落ち着いて穏やかに日常を過ごすことの出来る日を
また迎えられますことを、心よりお祈り申し上げます。
玉川屋のあります渋谷の街では、震災での被災も少なく
また、交通機関の集積地でもあるために
計画停電にも組み込まれる事もなく、この一月を過ごしてまいりました。
いまだ大変な思いをされている被災された地域の皆様の
ご苦労には近づくことは出来ないかもしれませんが
それでも、
どのように日々を過ごせばよいのか、何をして行けばよいのか
あらためて考える事を続けてきた一月でもありました。
百年以上続けてまいりました生業(なりわい)を
変わる事無く、日々守り続けて行くこと・・・
それが今の自分達にとって出来ること。
そう思って、毎日のお店を開いております。
日々の気持ちにゆとりがないと、なかなか
お着物を楽しむことは出来ないのかもしれませんが、
綺麗な着物の色合いを目にすることで、
生活の中に気持ちの豊かさを感じて頂くことがあれば
嬉しい限りです。
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「鐘霞む(かねかすむ)」
"霞む(かすむ)" とは、水蒸気の細かな粒子で
目で見る遠くの景色が、ぼうっとしてはっきりと見えない様子ですが
耳で聞く鐘の音さえも、淡く霞むように聞こえてくる・・
そんな、春の穏やかな情感を表しています。
実際の景色は霞んでいなくとも
桜の花が咲いて、街のそこかしこに淡い桜色が目につくようになり
春の暖かさが腰を落ち着けた頃に感じる、気持ちの和みが
目や耳の感じ方も、長閑にしてくれます。
"春眠暁を覚えず" なんて言い回しもあり
昼も夜も、一日中でものんびり過ごしたい時期ではありますが
一方で、春のこの時期は、新年度・新学期と
色々な事のスタートの時期でもあります。
欧米のように9月を新学期にという案もあるようですが
四季のはっきりした日本では、気持ちもじっと固まる冬から
伸びやかな春へ移って、気持ちが変わった時に
何事も出発したり、これからの予定を立てたり・・・
といった事があっている気が致します。
続いてきたものを、同じように日々続けて行く事、と
今までの事を、これからの為に新しく変えてゆく事、
相反する二つの事のようですが、何年も先になって
"あの時思っていた事や努力したことが、今こうして形になったんだな" と
思えるようなスタートを切ることでは、一緒である様に思います。
日本の中でも様々な状況がある今年の春ですが
そんな出発が出来ますよう、
自分達に出来ることを一つ一つ始めてゆきたく思います。
この春も、今年一年も
どうぞまたよろしくお願いを致します。
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4月14日(木) より 17日(日) までは
きもの呉盟会「春の名物奉仕市」のため
渋谷のお店をお休みさせて頂きます。
「春の奉仕市」も、震災の直後には、一ヶ月後の開催をどうするか、
色々な意見が有り、検討をしてまいりました
50年以上に渡り、40余軒が親子代々続けて守ってきて、
お客様によっては、お婆さま、お母さま、お嬢さんと三代に渡って
おいで下さる方もおいでになる会でしたもので、
前向きな気持ちで、開催をしてまいります運びとなりました。
会場の設営を工夫して照明の節電を心がけたり
組合からの義援を準備したり、少しずつ出来る事を会期中もしてまいります。
お品揃え、お値打ち、ともに例年以上にお楽しみを頂けるように
各店努めてまいりました。
彩づく桜を眺めながら、春の趣を感じながら
どうぞお出かけ下さいませ。
■きもの呉盟会「春の名物奉仕市」は、
4月15日(金)・16日(土)・17日(日) の3日間
港区・浜松町の「東京都産業貿易センター」にての開催です。
詳しいご案内は・・・・こちらからご覧下さいませ
ご来場には、ご案内状が必要となっておりますが
会場受付にて「玉川屋よりのご案内」とお声がけ頂ければ
大丈夫になっておりますので、どうぞお気軽にお足をお運び下さいませ。
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一昨年の、このご奉仕市の日には
東京で雪が降ったのを思い出しました。
「花冷え」とも呼ばれますが、
桜の咲く頃に、思いがけない寒さが戻る日があります。
暖かさに慣れた頃の、4月の寒さは
実際の気温以上に冷たさを感じることとなります。
どうぞ、十分にご自愛の上、お過ごしになって下さいませ。
「着物つれづれなるままに」・・いままでの目次には、こちらから
今の季節を楽しみたい・・玉川屋のホームページへは、こちらから