こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。
真綿から引き出した糸は、"おぼけ" と呼ばれる
手元の桶に溜めてまいります。
真綿50枚分を糸にしたものを、"1ボッチ" と呼びます。
結城紬の糸は、このときに撚りをかけませんので
糸や生地にも光沢感があります。
引き加減や、引いた糸を伸ばす加減で
糸の太さも変わってまいります。
ただ引くだけではなく、
同じ太さに揃うように一反分の糸を引かなければなりません。
真綿から引っ張り出してきて取った糸ですので、
糸のままでは引くだけで簡単に千切れてしまいます。
でも、織り上がり、お召しになり、手入れをかさねるうちに
しぜんと、薄く引き延ばした真綿のようになるのでしょう
軽くて、丈夫で、暖かい・・・結城紬の風合いが現れてまいります。
自分でも、糸引きの体験をしてみました。
軽く引っ張ってやれば糸が出てくるのかと思っていたのですが、
かなり強く引いてやらないと、糸が出てこないんです。
と、書いてはみても、どの程度の強さで? と思われることと思います。
先週に予定しておりました、
糸引きの実演の時には、職人さんの手業をご覧を頂くだけではなく
おいで下さったお客様にも、
実際にご自分で糸引きの体験をしてみて頂くつもりでした
私もそうでしたが、
ご自分の手で感じてみて頂いてこそ、写真や文章では伝わらない
ニュアンスが実感頂けて、良くお分かり頂ける事と思います。
玉川屋のお店に職人さんに来てもらうか、
実際に結城の産地へ行って工房を見てみるか、
落ち着いてまいりましたら、
あらためて色々な機会をお作りしてまいりたいと思っております。
どうぞまた、楽しみにしていて下さいませ。
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