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玉川屋 着物つれづれなるままに
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棚卸し、明日からは新しい一年が


こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

今日はお店の一年に一度の棚卸の日でした。

お店を閉めて、
店の品を一つずつ確認して記帳して行く作業になるのですが
その作業を通じて、この一年の間に
お店の棚からお客様のお手元に入ったお品を
一つずつ思い出して行く事にもなります。

毎日、同じに見える玉川屋のお店のであっても
その中に並ぶお品が、一年の間にずいぶんと変わってきている事に
自分達でもあらためて気づく日でもあります。

人の体って、2,3年たつと全く新しい細胞と入れ替わってゆく・・
なんて話を聞いた事があります。

それと同じく、玉川屋のお店も
お店にあるお品がお客様の手元に納まって、
また新しい品が、染め上がり、織り上がり、お店に並んで・・

玉川屋としての、変わらず受け継がれるテイストは有りながらも
気が付いてみると、何年か前とはまた違う趣が
お店の雰囲気として、今日の玉川屋となっている。

毎年この日には、そんな事にあらためて気づきます。

どんな風に変わって行くかは、
もちろん玉川屋の私達、自分自身の思いもありますが、
おいで下さるお客様方の、思いやお好み、楽しみ方、
といった事も、舵取りの大きな一つとなります。


明日からは、また新しい玉川屋の一年が始まります、
おかげさまで今年で124年目の玉川屋ですが
まだまだこれからの、10年、20年、・・そして次の100年、
玉川屋の進む道は、おいで下さるるお客様のお声と一緒にある事と思います。

暑さも増してきて、これからが夏も本番となってまいりますが
どうぞお気軽にお遊びにおいでになって、
色々なお声を、是非お聞かせ下さいませ。

心より、お待ち申し上げております。








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染めの体験・・大染色祭その二

こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

昨日に続いての、染色祭の様子を・・

二葉苑さんの更紗の型を使っての、半衿の染色体験

   01.jpg

長く張った生地に、半衿一枚分ずつの柄に合わせて
糊が置いてあります。

グレーに見える部分は、生地に糊の置いてあるところで
その隙間の、生地が残っている白い部分に刷毛で色を染めてまいります。

   02.jpg

本来なら糊も白い色なのですが、そのまま生地に置くと見えにくくなりますもので
青花という生地に色の残らない染料を混ぜて色を付けてあります。


隙間に挿す色も、お人によって選ぶ色合いが違いますし、
同じ色でも染め上がりは、はっきりしたり、淡かったりと
また違ってまいります。

写真でお分かり頂けるかと思いますが、
一度全体に色を挿した後に、部分的に色を重ねて上げる事で
染め上がった時には、そのところには濃い色のアクセントが付いてまいります。

   03.jpg

染め上がった後には、
色を定着させるための蒸気を当てる「蒸し」、糊や余分な染料を洗う「水洗い」の工程を経て
一枚の半衿となってまいります。

   04.jpg


もう一つ、本更紗の型紙を使ったテーブルセンターの染色体験、

こちらは、カードを染める時のステンシルと同じように
窓の開いた型紙を使い、それぞれの色を染めてまいります。

一つの色目を、
少しずつ窓の形の違う数枚の型紙をつかって染めてまいります。

今回は3枚の型紙を使い、それぞれの型紙に寄っての色の重なり具合で
濃い、薄い、中くらい・・・と、色の濃淡が現れてきます。

   05.jpg   06.jpg

同じ型紙、同じ色の染料を使っても
刷毛に浸ける染料の絞り具合、染料を摺る回数、力の入れ加減・・・
その仕上がりぐあいは、お一人お一人によって変わってまいります。

   07.jpg

本来の着物や帯の染めになると、
その前の、染め上がりのイメージの作りや、色の配色などからスタートし
頭の中にあるイメージを生地に映して行く作業となります。


ご自分で、一つの品を染めてみると
楽しさと共に、思いの通りを染め上げることの奥深さも感じて頂ける事と思います。

次は、こんな風に染めてみたい・・・
染め終わってみると、すぐに次の染め上がりに思いが膨らんでまいります。

また色々な機会も、ご用意してまいりたいと思います。
着物がもっと好きになる、そんな機会と思いますので
是非お気軽にご参加下さいませ。










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染めの体験・・大染色祭その一

こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

このページでもお知らせをしておりました
新宿・落合での二葉苑さんでの大染色祭、
ちょうど梅雨の合間となりお天気もよく
(逆に、気温も30度ほどの真夏日ではありましたが・・)
爽やかな初夏の陽気となりました。


奄美から運んだ泥での、Tシャツの泥染め

   01.jpg

模様が出るように結んだり、ゴムで縛ったりしたTシャツを
色の定着をよくするために石灰を溶かした水に浸けてから
テーチ木の染液に浸けます。

   02.jpg   03.jpg

テーチ木は車輪梅という木を呼ぶ沖縄地方の方言だそうで
車輪梅は東京の銀座の街路樹としても植えられているバラ科の植物ですが
  
   銀座のこんなとところで街路樹として植えられています・・・クリック

現地に映えているのは、東京にある車輪梅より、随分と大振りなものになるそうです。


   04.jpg

こんどは、それを泥の中に浸けてやります。
泥で染めるとは書きますが、実際にはテーチ木のタンニンと泥の中の鉄分が化合して
色が発色してくる事になります。

   05.jpg


こちらは、いつもは蒸しや水洗をしている部屋での
村山大島の染めの技法となる「板締め」での、
藍染めショールの染色体験です。

   06.jpg

細い溝を刻んだ型板に生地を挟み込んでやる事で、
染まるところと、染まらないところを、作ってやります。

染めて、洗って、の工程を経て

   07.jpg   08.jpg

生地のたたみ方や、使う型によって
ひとつひとつにそれぞれに趣きたっぷりな染め上がりとなってまいります。

   09.jpg   10.jpg


まずは、2つの染めの体験のご紹介

本来の着物を作り上げるまでには、染料の準備や、染めるための糸の整経などから始まり
また、染める過程でも繰り返し繰り返し何度も回数を重ねたり、
一つ一つの工程にも、意味合いと、丁寧な仕事が
綿々と続けられてまいります。

そういった工程を紹介する事で沢山のページとなるのですが
こんかいは、難しく知識を勉強すると言うよりは
自分でじっさいに「染め」に触れてみて、楽しんで、好きになってもらおう、と
そんな機会であります。

面白さ、楽しさを体感して頂いた方は
染める事に対する興味がしぜんと出てきて
きっと、もっと色々な知識や理解が
色々な機会に見たり聞いたりするうちに深くなってくるのだと思います。


楽しんでみる、ことがなにより一番です、
着る事だけではなく、こんな体験がさせてもらえる事には
二葉苑さんはじめ色々な染め屋さん達に感謝です。

色々な作り手さん達からのお品は、
これから秋や冬に向けてのお品が玉川屋に揃ってまいります。
出来上がったお品を見ながら、その作り手の思いや仕事にも思いをめぐらせてみるのも
また楽しい事と思います。


染色祭の当日は他にも色々な染めの体験がありましたので、
明日もこの続きを・・・









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夏場のお直し その二 羽織の丈のばし


こんにちは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

昨日の、直し物の続きを・・・

お直しの時に困るのが、以前の丈の短いお羽織です。
腰にかかるくらいの短めの丈で、ヒョッと羽織ってお出かけになる
そんな着方の多かったお羽織ですが
今は逆にちょっと長めにドレッシーに着たい、そんなお好みのようです。

羽織の上に、もう少し丈の長めに仕立てたコートを、
寒かった時にはそうして重ねた事もあったようですが
最近は、東京では真冬でもそれほどの寒さを感じる事は少なくなりましたので
少し長めのお羽織で、冬もコート兼用にそんな感覚でもあります。


せっかくお手元にあるお母さまの羽織、
何とか直して着られるようになるものか?
とお持ち下さる事も多くあります。

羽織は身頃の部分は表地の生地を裾で折り返して
裏地として使って仕立てておりますので
それを表に伸ばせば、長い丈に仕立て直せるような・・そんな気がしますが、

困るのは、衿の長さがそれほど伸ばせない事です。
裾からぐるっと回って反対側の裾まで、長く繋がった羽織の衿
裾の部分を触ってみて下さると、生地の厚みで縫い込みの分量が分かるかと思うのですが
衿にはそれほど縫い込みの長さがないのです。

身頃は伸ばせても、衿はそれほどに伸ばす事が出来ず、
そこで困ってしまうのです。


一度機会があったら、仕立てを解いたお羽織の衿をご覧になってみて下さいませ。
細い衿の中には、元の巾の生地をそのまま畳んで仕立ててあります。

アバウトな書き方にはなりますが、
それを半分の巾に裁って繋ぐと倍の長さになります。

本来なら一本の衿の生地に、背中心に縫い目が出てしまいますが
柄の入った小紋調の生地ならそれほど目立ちもしない事と思います。
薄くなった分、中に芯を入れてお仕立て直します。


身頃は、裏地を表にかえして
 (その分、羽織り裏の生地が足りなくなるので、長めの新しい羽裏に交換します。
  脱いだ時の羽裏の分量は、本来より大分裾の近くまで来ますが、そこはしょうがありません)
衿は、生地を割って長く伸ばして、

勿論、お品の具合によって出来る、出来ないはありますが
これも一つの方法になります。

割った細い衿分は、衿丈を伸ばすのではなく
袖付けの縫い込みのない羽織の裄を伸ばす時に、割布として使った事もあります。



本来なら、しない仕立て方でも
「母のこの柄が好きで、何とか着てみたい」そんなお話の時には
色々知恵を絞ってみます。

気に入ったお使いになれるお品は、大切にお召しになって、
その分、何か新しいお品をお作りになる時には、
大事に長くお召しになれるお品をお探しになるのが
愛着のあるお品が、しぜんと揃って行く道と思います。









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夏場のお直し その一 着物の足し布


こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

夏場は、お手入れやお直しのお品をお預かりする事も多くなります。

袷のお着物を今の時期に、
解いて洗い張りをしたり、八掛のお色目を変えたり、
お時間のかかるお直しは、お召しの時期までまだ間のあるこの頃が
ちょうどお直しのタイミングとなります。

まずは、仕立てを解いて、
着物の状態によって筋消しか、または洗い張りをまずします。

胴裏がそのまま使えればOKですが
黄ばんでしまっていたり、弱ってきている場合は
新しい白い胴裏に取り替えます。

八掛も、そのままお使いになる時もありますし
色目を変えて着物の雰囲気を変えて仕立て直す事もあります。

以前は、朱や赤系の八掛が付くお着物も多かったのですが
最近は、地色に合わせた同系色のお色目の八掛を
すっきりとした雰囲気でつける事が多くなりました。



ご自分のお着物なら寸法的にもまだよいのですが
お母さまのお品をお直しするような時などは
身丈や裄など、元のお着物よりも寸法を出してお仕立てする事が多くなります。

袖付けや内揚げの縫い込みがなく、
生地の巾や用尺が足りない事もあります。
裄のための袖付けは生地の巾が足りないと直しようがないのですが
身丈が足りない場合には、足し布をして直す事があります。


通常は前帯の下に入る位置に、2寸(約7.5cm)ほど、
帯の巾が通常や約4寸(15cm)ほどですので
帯を締めた時に足し布がはみ出さない寸法で足します。

それでも身丈が足りず、
どうしてももっと足し布が必要な場合には
おはしょりに隠れる部分に足し布を入れます。

ただ、その方の腰紐を締める高さによっても
おはしょりの位置は変わってまいります。
まずは、寸法のあった着やすいお着物を一度着てみて頂いて
腰紐の位置と、着た時のおはしょりの長さを見てから
足し布の入れ方を決めてまいります。


そのほかにも、色をかけてみたり、一度柄を抜いて染め変えたり、
表裏のない紬の場合は、汚れてない裏側を表にひっくり返して仕立て直したり、
色々な、直し方、手の入れ方があります。

生地も一度水に通してあげると、綺麗になってまたシャンとしてきます。
手をかけてお直しして、仕立て上がってみると
見飽きていたお着物が、すっかりと違う表情を見せてくれるはずです。

一つの品を永く大事にお使いになる、お着物ならではの楽しみに気付く事と思います。



お着物をお直しする事は大戸思いますが、
よくお困りになって、ご相談にお持ち下さるのが
以前の、丈の短いお羽織です。

そのお直しの仕方については、また機会をあらためて・・







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