皆様、いつも有り難うございます
玉川屋呉服店の石井貴彦です。
八月に入り、いよいよ暑熱厳しい季節となってまいりました。
時候でいうならば「大暑」の時期、
来週は暦の上では立秋を迎える頃なのですが、
実際の陽気は夏本番となるこの時期です。
「立春」や「清明」、「小暑」や「大暑」
「白露」や「啓蟄」・・・・など
一年を、二十四の時期に分けた暦は「二十四節季」と呼ばれます。
春夏秋冬の4つの季節を、
その真ん中の「春分・夏至・秋分・冬至」の「二至二分」で
更に2つに分けた8つの節を、
さらに3等分することで二十四の節季に分けて
季節の移り変わりを、おってまいります。
元来、中国で作られた暦でもありますが、
季節の移り変わりをきちんとつかむことは
農業などにとっても大変重要なことであり、
日本でも根付いてまいりましたが、
緯度経度や気候の違う日本では合わないところもあり
日本なりの気候風土に合わせて、より季節の移りを反映できるよう
節分、彼岸、土用、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日といった
雑節が取り入れられるようにもなりました。
季節を表す暦には
二十四節季を、さらに3つに分けた七十二侯があり
およそ5日ごとの時候の推移を
「東風凍を解く(はるかぜこおりをとく)」・・立春の初侯、2月初め
「蚕起きて桑を食む(かいこおきてくわをはむ)」・・小満の次候、5月下旬
といった、動物や植物、自然現象などに関した、具体的な表現で表されています。
■今の時期は、大暑の末侯、「大雨時行る(たいうときどきふる)」
(時として大雨の降る時期、の意)となります。
七十二侯も、当初は中国伝来のまま使われていましたが
生活実感により身近な表現でありますので
そのままでは季節感がずれて不都合な部分もあり
日本の暦学者によって、日本の風土に合った表現を取り入れた
七十二侯が作成もされました。
代表的なものが、1685年の貞享の改暦の折りに
暦学者の渋川春海により作成された本朝七十二侯などがあります。
一寸、話が逸れますがこの渋川春海は
日本で最初の国産の暦である貞享暦を作成し、改暦を致しましたが
その過程は、本屋大賞を受賞した冲方 丁さんの小説「天地明察」に
表されております。
この「天地明察」は、
岡田准一・宮崎あおい出演でこの秋より映画も公開されますが
その小説の中では、玉川屋の地元の氏神様でもある金王八幡宮が
主人公の転機の一つとなるスポットとして描かれております。
そうした、二十四節季も
今の時代になりますと、実際の季節感とは
さらにズレを感じることも、少なくない・・・
今のような40度近い気温や、
ヒートアイランドといった現象も昔はなかったでしょうし
気候自体が変化してきていることもあれば、
生活習慣や、ライフスタイルの変化と行ったことも
あるでしょう。
玉川屋でもお店のカウンターの正面に
数メートルの巻物のように筆で書かれた二十四節季が
掲げられています。
ご来店のお客様と、それを眺めておりますと
「今の時期は、ちょうどこの時期」
「季節の移りが一寸早い気がするけれど,今はこの季節なのね」
そんなお話しが出てまいります。
微妙なズレがあったとしても、今の季節を意識することで
日常の生活の中にも、良いスパイスがきいてくることと思います。
日々の暦は、玉川屋のホームページの「歳時記」のページで毎日更新しています
・・・・<クリック>
そんな二十四節季を、現代の生活実感に合わせた暦に変えてゆこう・・
日本気象協会では、昨年より二十四節季の見直しをスタートして
2012年秋をめどに提案してゆく予定、とのことです。
■
日本気象協会ホームページ 日本版二十四節季・・・<クリック>
■
日本気象協会ホームページ 二十四節気と季節のことばに関する街頭インタビュー・・・<クリック>
2月4日の立春はまだまだ真冬、じっさいの季節の実感とは大分違う・・
その、実際の季節とのズレがあることで、これから訪れる季節により敏感になれる
そうした事が日本文化の礎になっている・・・
賛否両論、色々な意見もあるようです。
また、言葉としては「芒種」や「小満」など
言葉としてなじみのない語もありますので、
現代の人が聞いても分かりやすい言葉に置き換えたり
季節の行事となる「花見」や「衣替え」などをとりいれた
年中行事表を新たに作ったり、といった意見もあるそうです。
ちなみに、「芒種」は6月の初め、梅雨入り前の頃、
芒(のぎ)は稲や麦などの花の外側の穎(えい)の先端にある針状の突起のことで
芒のある植物すなわち稲を植え付ける時期を指します。
「小満」は、芒種の一つ前の節季で5月の下旬
"万物長じて天地に満ち始める" の意味で
田植えの準備が始まり、山野の植物も花から実を結び、蚕が盛んに桑を食べ始める時期
などとされていました。
■
日本気象協会ホームページ 日常生活で使う言葉、使わなくなった言葉・・・<クリック>
季節の趣きを日常の生活の中でとらえて
それを文化や暮らしの中に取り入れてまいります事は
日本人ならではの豊かな感受性の表れとも思います。
こうした話題やテーマに触れることは
あらためて、季節の移りに気持ちを向ける
きっかけになるのではないでしょうか。
毎日を季節を意識しながら迎えることで
同じように過ぎてゆきがちな日々も、
一日一日それぞれに、違った表情が見えてくることと思います。
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炎暑厳しい夏の盛り・・・
打ち水、簾(すだれ) 、風鈴、団扇・・昔ながらの
夏の過ごし方も取り入れてみると、暑さは厳しいながらも
気持ちの中にちょっと涼やかさが増してまいります。
初詣や寒い頃に飲むイメージのある甘酒ですが
かっては、栄養価も高く、水分や栄養分を補給しやすい
夏バテ防止の食材として重宝されていたそうです。
冷たく冷やして飲む甘酒も、これからの季節にはお勧めです。
盛夏の候、どうぞお大事にお過ごし下さいませ。
「着物つれづれなるままに」・・いままでの目次には、こちらから
今の季節を楽しみたい・・玉川屋のホームページへは、こちらから