こんばんは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。
11月の異称は「霜月」と言いますし、二十四節季で呼ぶ今の時期は、
"秋も深まり、早いところでは霜もおり始める" という「霜降(そうこう)」の頃と
なります。
実際の陽気は、本来なら、秋から冬へと移る時期ではありますが
10月の末に一度寒さが深まり「木枯らし一番」が観測された後は
また夏日がぶり返される事もあり、晩秋とさえ言えない位の
暖かさのある陽気が戻ってまいりました。
渋谷の周りでは、色づく紅葉を目にする事は少ないので、
神宮外苑の銀杏のきれいな黄葉を毎年の楽しみにしながらも
今年は、まだまだ先のようです。
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お店を開いていますと、
普通の家庭にはないような品物があったりします。
そんな一つが、「五つ玉のソロバン」です。
私の子供の頃には、書道や珠算の教室が定番ではありましたが
最近では、単に計算能力の向上の為だけではなく
「右脳の活性化」や「集中力の向上」といった事を求めて
そろばん教室に通う子供さんも、とても増えてきているそうです。
普段、見慣れたソロバンは、梁の上に玉が一つ、下に四つの、こうしたものと思いますが
玉川屋の店にありますソロバンは、大きさも一回り大きく、梁の下には5つ玉のソロバンになります。
ソロバンは、古来に中国から伝来した時には
中国の算盤(さんばん)をまねた天2玉・地5玉のソロバンが用いられていたそうです。
(中国の尺貫法では16進法の計算が必要となり、
こうした形態のソロバンが使われていた様です。)
時代が流れ日本では、速算がしやすい様に
玉の形状も円錐を上下にかさねた様な菱形の玉となり、
十進法の計算には不要となる、梁の上の玉を一つ減らし、
1935年に小学校での珠算教育が必修となった際には
下の五つ玉の一玉も取り除かれて
天1玉・地4玉の四つ玉のソロバンが使われるようになりました。
■ソロバンの「たま」には「玉」の文字を使って書いておりますが
珠算とも言います「珠」の文字を使っても表します。
そこで、玉川屋のお店にあるソロバン・・・
勿論、古い時代の品ということはありますが
商店で使う五つ玉のソロバンは
「玉を動かす手の様子で、表した数字が、他人に分からない」ように
なっています。
業者間で、値段を他の人に知られたくなく交渉する時に
四つ玉のソロバンなら「5」を入れる時には上の玉を動かしますのですぐ分かります
が
五つ玉のソロバンなら下の玉を動かすだけで、「2」でも「3」でも「5」でも入れ
ることが出来ます。
そのため、さらに
上の四つ玉のソロバンの写真をご覧頂くと、玉の後は素通しになっていますが
五つ玉のソロバンでは、裏からも玉の動きが見えない様に、蓋がしてあるのです。
今では、日常の仕事の中で、ソロバンを使うことはほとんどなく
電卓やパソコンが代わってはおりますが
こうした品が、昔から続くお店の雰囲気を感じさせてくれてもおります。
■ちなみに、写真のソロバンは私の子供の頃からあったもので
弟とローラースケート替わりに遊んで怒られた覚えもあります。
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私共にとりましての、毎年の秋の恒例は
玉川屋をはじめ東京の老舗40余軒が加盟する「きもの呉盟会」の
「秋のご奉仕市」となります。
今回は、おかげさまで30回目の記念の会を開くこととなり
お洒落着からフォーマルのお品、男物、和装小物まで
2割引から半額以下でのご奉仕品の品揃えに加えて、
■30回記念の「3万円、10万円コーナー」
■各店選りすぐりのお品を一部屋にお揃えする「逸品コーナー」
をご用意させて頂きました。
また、秋の良い季節、ご来場のお客様には
■お楽しみ抽選(大当たり・金券1万円、小当たり・和装小物)
■着物姿でご来場の方、正絹博多伊達締をプレゼント(先着150名)
■振袖お買上の方に、東京湾ランチクルーズをペアでプレゼント
■逸品コーナーのお買い上げの方には、正絹縮緬地風呂敷をプレゼント
といった、お楽しみをご用意致しております。
◆詳しいご案内や、案内状のお申込は、こちらでご覧になって下さいませ。
(ご来場には、ご案内状が必要となります。)
お申込はこちらから、お気軽にどうぞ・・・・・
「各コーナーの様子」、「奉仕市の由来」、「良い品がお安い理由」なども
上のご案内のページで、ご紹介致しております。
◆秋の良い季節、皆様のお出かけを
心よりお待ち申し上げております。
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時代はしぜんと移り変わってゆくものではありますが
ふとした時には、
以前と変わらぬ情緒や趣きを感じることもあります。
お着物は、単なる衣裳としてだけではなく
お召しになった時の思い出や、作られた時のお気持ちなどと
ご一緒に大切にして頂けることが、その良さでもあります。
お召しにも心地の良い陽気ともなってまいりましたので
どうぞお気軽に、お着物をお楽しみ下さいませ。
「着物つれづれなるままに」・・いままでの目次には、こちらから
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