平成12年の5〜8月の分です。


8月21日

麻布十番納涼まつり2



麻布十番の納涼祭りへ行って来ました。

去年までは地下鉄の六本木から歩くか、渋谷から都営のバスで行ってていたのですが

今年は春に300台以上の駐車場がオープンしたので車で遊びに行きました。

現地に着いたのはまだ陽の明るい時間でしたので初日の金曜日の夕方ということもあり、

まだ人出も土日に比べると大分少なかったのですが

陽が落ちるにしたがい次第に人の数も増え、歩くのも大変なほどになってきました。



商店街のお祭りということもあり、テキ屋の屋台に加え

各お店それぞれが出す出店がこのお祭りの楽しみです。

イタリアン、フレンチなどレストランの出店で美味しい物を少しづつ食べながら

ワイン、ビール、サングリア・・飲物もお酒も何でもありです。

(お勧めは、麻布十番の中央に作られた広場を左に曲がった韓日館の焼き肉と

 反対側に曲がったところにある浪速屋さんの鯛焼きです。

 来年ゆかれる方は、ぜひご賞味下さい。)





もう一つ楽しいのが、道路の向かいの会場に作られたワールドバザールです。

外国の大使館が多い土地柄、各国の物産や料理の屋台が並んでいます。

バラエティーあふれる お料理、飲物、お土産が楽しめます。

今年は、イタリアの屋台のコロッケとインドの屋台でチキンカレーとナンのセットに

各国のビールの飲み比べというメニューを楽しんできました。





(浴衣姿が多かったのでそんなお写真をと思いましたが、
  あまりの人出にうまく撮れず写真は私の娘二人の浴衣姿です。)

今年は、花火もお祭りも浴衣の方が大勢で、

麻布十番も夕方になると浴衣姿が沢山見られました。

紺地、白地をはじめカラフルな浴衣や、女性用の甚平なんて方もいました。

男性の浴衣姿も多かったですが、最近の浴衣ブームで女性が浴衣を着慣れているのに比べ

お相手の男性の方の着方はまだ着慣れていない雰囲気の方が多かったようですが

やっぱり、お揃いの浴衣姿は素敵なものです。



浴衣の方の多い中、夏の着物をすっきりとお召しの方もお見受けしました。

涼しげな浴衣姿もよいですが、凛とした涼しさを感じさせる着物姿もまた良いものです。



お盆をすぎると残暑は厳しいものの、気分は次第に秋へと移ります。

移りゆく季節に合わせて、装いも自然と移り変わってゆく、そんなお召しものは

四季の豊かな日本の着物こそです。

私共のお店も、お盆のお休みが開けそれまでの薄ものをしまい、秋のお品が並ぶと

気持も秋へと向かってゆきます。

夏のお品を初夏にお揃えしたときにも同じように夏を感じたものですが、

おいで頂くお客様にもそんな季節の変化を自分の生活の中に感じていただくことが

お着物の楽しさではないかと思います。



薄ものから単衣、そして袷のお品へ、暦の区切りと実際の気候と自分の気持ち

それぞれを大事にしながら何を着ようかと

自分らしいお召し方をお楽しみ下さい。

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8月17日

麻布十番納涼まつり

お盆をすぎると、暑さも一段落となるようです。

今年の夏も厳しい暑さでしたが、皆さんお変わりございませんでしたか。



お休みを頂いておりました渋谷のお店も、19日(土)より

いつも通り営業させていただきます。

お休み前の薄物とはがらっと雰囲気が変わって

秋向きのお品をお揃えしておりますのでお楽しみにしていて下さい。



この夏のお着物でのお出かけはいかがでしたか・・・

この週末、東京の麻布十番で恒例の納涼祭りが行われますので

ご案内させていただきました。



お神輿の出る神事のお祭りとは違い、商店街が中心のお祭りですが

町中のお店が出す、屋台やイベントは他のお祭りと違う楽しさがあります。

レストランが出す自慢の料理の屋台などは、食べ歩いているだけで

楽しくなります。



またワールドバザールでは世界各国のブースが出ていて

30国以上の自慢の物産やお料理が楽しめます。



普段は落ちついた雰囲気の街並みですが

この3日間はすごい人出の賑わいです。



今年のまつりのご案内は、下記のページで詳しく案内されておりますので

ご覧になってみて下さい。

こちらをクリックして下さい。



お天気が良ければ家族で出かけようと思っています。

そんなご報告もまたさせていただきます。



(玉川屋のある渋谷でも9月の15日には、道玄坂を中心に

 12基のお神輿のパレードなど、地元の金王八幡さまのお祭りがあります。

 こちらも賑やかですので是非どうぞ。)



今年は、隅田川の花火大会もサミットの影響で今月末になりましたし

8月の後半にもお出かけの機会もあるかと思います。

ちょっと涼しさも出てまいりますので、

秋を目前に、最後の夏のお着物楽しんで下さい!



夏は汗もかきますし、おしまいになる前のお着物汚れなどのチェックと

汚れが気になる時にはお手入れをお忘れにならないように。

(そのままにしておくと、ふっと気がつくとすぐ来シーズンになってしまいます。)

ちょっとしたお気遣いが、お着物を永く大事に楽しませてくれます。

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8月2日

屋形船のお誘い

8月を迎え、夏らしい暑さが続いております。

涼の求め方も人それぞれ、浴衣や夏のお着物姿も今年は街中にも多いように

見受けられます。



夏の着物を楽しくお召し頂くために、呉服屋さんのお仲間と共に、

屋形船を仕立てる事となりました。

せっかくの呉服屋の屋形船ならと、大阪より

人形 浄瑠璃や三味線の各氏をお招きし

川風に吹かれながら、文楽人形浄瑠璃を楽しもうという贅沢な趣向です。



解説を交えながらの語りや、人形の使い方など、

普段舞台でご覧になる事の出来ないお話を中心に身近でご覧いただけます。

その後、お招きしたのゲストの方ご一緒にお食事をお楽しみ頂きます。

一味違う、今年の夏がお楽しみ頂ければ幸いです。



と き    8月24日(木) 午後6時集合

ところ    品川 船宿三河屋 

          (詳しいご案内はお申し込みの後させていただきます。)

会 費    1万2千円



ゆったりとした少人数でお遊び頂くのと、お店のお客様との人数のかねあいで

ほんの若干名様のお申し込みとなりますので、ご希望の方はお早めにご連絡下さいませ。



みなさまそれぞれに、夏のお着物姿がおありの事と思います。

どんな風にお楽しみか、玉川屋のホームページの掲示板でもぜひ教えて下さいませ。

玉川屋 掲示板「着物お茶のみ話」は、こちらをクリックして下さい。



夏もこれからが本番です。

暑さに負けずお着物を楽しみましょう!

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7月17日

越後の産地へ行ってまいりました

先週末に、越後の産地へ日帰りで行ってまいりました。

毎年、7月頃に今年の秋の品をはじめ、来年の桜の柄、夏物などの品をてはいしに

行ってまいります。



直接産地へ伺うことで、色々な品を見てくることが出来ますし、

呉服屋としてお客様からお伺いする色々なご要望を直接に作り手の方にお伝えすることも

とっても大事な仕事となっております。



また同じ品ものを私達が見るのでも、作り手の方からこれはこんな技法を使って作った、

こんな思いで作ってみたがいかがなものかといった、色や、糸、技法に関する様々な思い入れを

直接に伺うことで、お店で私達が実際にお客様にその想いを伝えることが出来ると思っています。

また、色々な知識も深くなりますし、今後の品創りの参考になることも

沢山感じることが出来ます。



そんな事で、とりとめなくいくつかのお話を・・





自分で草木で色を出して、機を織っている若い方ともお話しすることが出来ました。

越後には、染織の訓練センターのようなものがありそこで何年か技術と知識を学ぶと

土地に残って実際に染織の仕事に携わることが出来ます。



お話しした方はそのようにして品を創っている方でした。

注文に合わせるのではなく、自分の好きなように、色を出し品を創ってゆくそうですが

なかなか面白い雰囲気のお品を拝見することが出来ました。





上からぶら下がっているのが、草木で染めた糸です。

とっても柔らかいきれいな色目で、じっさいに織り上がってくると

はんなりとしたお品になってまいります。

山桜や、杉など様々な山の樹木を使い色を出すのですが

同じ木からも季節によっては出る色が違いますし、色を染めてからもしばらく置いて

色を枯れさせて落ちつかせてから、やっと織るところまでくるわけです。



微妙に違う様々な色目の糸を使い、試し織りをしてみて

その織りあがりの良さそうな組み合わせを使いながら自分のイメージで機を織ってゆきます。

そんな風にして出来上がってくるお品だからこそ、微妙な色合いや、風合いのお品を

いざお召しになるときには楽しんでいただけるわけです。





同じ色で染めても、糸の質によってもその色目や織りあがりの生地の風合いは変わってきます。

上の写真の糸は、赤城紬と呼ばれる織物の糸です。

真綿から紡ぐのではなく、いくつかの繭から一気に糸を引いてくるため

糸が沢山より合わさって太いところもあれば、生糸のように細い部分もあり

途中から枝毛のように糸が延びる部分もあります。

独特の風合いにはなってまいりますが、糸が均一でない分

機を織るときに経糸を上げ下げすると、絡まりやすく、そのために織るときにも

それを直しながらになりますので手間もかかりますし、糸も切れやすくなるため

注意しながら織ることになります。



ざっくりとした風合いになってまいりますので

太めの糸で帯にしたときには良さそうな風合いのお品になっていました。



とりとめもなく、もう一つ・・



薇(ぜんまい)の穂を織り込んだ織物のお話です。

着物や帯に薇の穂を部分的に織り込みながらお品にするのですが

柔らかい風合いで色もやさしい感じに織り上がります。



薇の穂を真綿と一緒に紡いだり、途中で織り込んだりするのですが

薇自体は食用に使うものとおなじで、穂の部分は食用には使いませんので

食用の薇を扱っているところからはその穂が自然とと出てきます。



ただ出てきた穂は、細かいゴミや埃とまじって出てきますので

その汚れを取り除いて、いざ機にかけるまでの手間が大変になってくるのです。



また、薇の穂自体はベースとなる絹の生地より弱りやすい様ですので

あまり薇が多すぎると自然と抜けてきたときに生地自体がやせてしまいますので

1割から2割程度まで薇を使うことが多いようです。

薇の穂自体は、油気を含むため水をはじく撥水の効果があるため

以前は川で仕事をする漁師さんなどは薇のみで作った衣類を着ていたこともあるようです。



ちょこちょことした、とりとめのない話ではありますが、

お着物はただ品物を身に装うと言うだけではなく、その品を通して

色々なドラマがあります。

一つ一つのお品の雰囲気、風合いや特徴、それを創った作り手の様々な思いもあれば

それをお店にお揃えする私共のような呉服店にとってもそれぞれのお品についての思い入れもあります。

新しいお品だけではなくとも、お母様やお婆さまのお品についても

よく伺ってみれば、必ずそのお品についての想いが全てにあるはずです。



一時だけ着てそれでおしまい、そんな単なる「品物」ではないからこそ

自分なりの思いをもって、こだわりをもって着ることの出来るお着物が楽しいのだと思います。

そんな風に想いながらすごしておりますと、呉服の仕事というのもとっても楽しいものです。

お品と共にそんな楽しさもご一緒にお伝えしてまいりますので

それぞれの季節に、その時期や雰囲気のお品を楽しんでいただければと思います。



また、皆さんからお伺いする色々なお話を元に

染めや織りにたずさわる方にもそれをお伝えして

より気軽に楽しんで頂けて、永く大事にお使いいただけるお品を創ってまいりたいと思っております。

是非色々なご意見をお気軽にお寄せ下さいませ。

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7月5日

着物を永く大事に着るために 3

  

上のお写真は、十三参りのお着物をお羽織にお直ししたお品です。



ピンク色の八掛を付けた、十三参りの可愛いお品でありましたが

お袖と、身頃はそのまま使い、

着物の衿と衽を使って、目立たぬようにハギを入れて羽織の衿をとりました。

お召しになる方はすらっと背の高い方ですので、2尺7寸のたっぷりとした丈のお羽織を

お仕立ていたしましたが、素敵なお品になりました。



表が薄色ですので、柄が表に映らぬように柔らかい色調のぼかしに小紋柄の羽織裏を使っています。





こちらのお写真も、同じお客様からお承り致しましたお品です。



何から、何にお直しを致しましたか分かりますか?



藍と小豆色の絞りの染め分けに、素描きで梅を描いた、お婆さまの訪問着が元のお品です。

ほどいて洗い張りをしておいてありましたが、あまり古いのでお母様が処分されようとしたのですが

せっかくのお品なので、何とかして着てみたいとお孫さんにお持ちいただきました。



元のお着物は、 それほど長い身丈ではありませんが、

お婆さまのご寸法に合わせて染められたお品だったのか、

内揚げの縫い込みがなく、それ以上身丈を出すことが出来ず

足し布をしても着物としてはお仕立て直しが出来ませんでした。

生地の幅も大分つまっており、地のしをしてもある程度しか生地幅が取れないため

羽織やコートなど着物の上にお召しになる品にもお直しは出来ませんでした。



色々ご相談した結果、生地も大分軽くなっておりましたので

紬の下などにお召しになれるお洒落襦袢としてお直しを致しました。

袷の襦袢は袖が無双になりますが、お着物からの仕立て直しですので

お袖は単衣の袖でお仕立ていたしました。



梅の柄ではありますが、お着物の下にお召しだと柄はほとんど分からないので

袖口と振りに出る色が違う、紬の下に着てちょっとシックな色目を楽しめるお襦袢として

お使いいただくこととなりました。



お着物は、反物を直線に裁ってお仕立ていたしますので

ほどいて端縫いをすると、又再び約、幅40センチ×長さ12メートルの元の反物に戻ります。

それ故に、寸法の異なるお着物として、コートとして、お羽織として

時には帯や前述のようにお襦袢として、いかようにもお使い道があるはずです。



一つのお品を永く大事にお召しになれるのはお着物ならではですし、

特にお身内のお品をお召しになることは、家族のつながる流れのようなものを感じることも出来て

お召しになっても気持ちの良いものです。



お身内のお召しになれるお品は、

色々な形でしっかりお使いになり、その分で出来てくる余裕で

何か新しいお品をお誂えになる時には、

生地や染め、織りのしっかりした、

ご自分の本当に気に入って納得したお品をお選びになる事で、

愛着を持って永く大事に出来るお品が自然と揃ってくるものです。

 (そうしてお揃えになったお品は、ご自分で大事にお召しになった後、

  また次の方へと受け継いでゆかれるはずです!)



単衣の季節から薄ものの季節に移ってきたところですので

袷のお品のお直しをするにも良い季節です。

そんなお品を前にどんな風に変身させてあげるか、あれこれ悩んでみませんか?



今の時期に、箪笥で眠っているお品に手をかけてさしあげれば

ちょうど秋のシーズンが始まるころに仕立て上がってくるはずです。

 (秋にもまた素敵なお品をお揃えしてゆきますので

  よみがえったお品に取り合わせるお品をお探しの時には是非お遊びにお出かけ下さい !?)

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5月29日

そろばんの話し



最近では、消費税なんてものもありますので電卓を使って計算するようになりましたが、

以前はどこでも、そろばんを使って商いをしておりました。

とは言っても、私自信もそろばんは上手に使えませんし、私が玉川屋に入りましたときには

計算機を使うことの方が多くありました。



私が小学生の時には、そろばんを使うことが授業の中にあり

基本的な事はその時に習いましたが、そんな方も多いのではないかと思います。

上の写真は、私共の店にある年期もののそろばんですが

学校の授業や、そろばん教室などでお使いになった方はご自分の使ったそろばんを思い出して欲しいのですが

形や玉がお使いになったものとは違うはずです。



学校で使ったそろばんは、下の段の玉が四つで裏も素通しになっていたはずです。

写真に写っているそろばんは、下の段の玉が五つで裏にも板が張ってあります。

  (大きさも縦が15センチ、横が40センチくらいと結構大きなものです。)



学校で使ったような普通のそろばんは、

下の段の玉一つが1を表し、四つ使うと次は上の段の5を表す玉に置き換えます。

五の玉に下の玉を一つづつ加え、5,6,7,8,9,と

上の段の5の玉と、下の段の1の玉四つを使うと、次は隣の十の位の玉を一つ上げます。

(分かりにくい文章で済みません、ご理解いただけますか?)



写真のそろばんは、下の玉が五つありますので

下の玉を五つ使っても、上の玉一つだけを使っても、どちらも5を表すことが出来ます。

そんなことから、商品の仕入れなど商いでそろばんを使うときには、

まわりの他の人に提示している金額が分からないと言うことで写真のようなそろばんを使うのです。

裏に板が張ってあるのも同じ様なことからです。



呉服屋をしていると、こんなそろばんや、大きな裁ち鋏、鯨尺の竹の物差しなど

最近では少なくなってきたお品も色々あります。

今回のお話は着物とは直接関係ありませんが、

単衣と薄ものの展示会の後かたづけをしながら、そういった物を整理していて

ふと思いましたもので・・・

(子供のころ、大きなこのそろばんの上に乗って店の畳の上を滑って遊んで

 こっぴどくしかられたのも思い出しました。)

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5月7日

亀戸天満宮 藤祭りへ行って来ました



東京は江東区にある、藤で有名な亀戸天満宮へ

GWの最終日の7日に行ってまいりました。



藤は盛りを過ぎた時期ではあるようでしたが、

写真のようにまだ素敵な藤を見てくることが出来ました。

散った藤の花びらが、池の水面にいっぱいに広がり

池が藤色に染まる様子も、この時期ならではの素敵なものでした。

藤と共に池のほとりにはツツジもまた 咲き揃い

そのツツジの赤い花の色が、藤の色をいっそう引き立てて

何とも言えない、取り合わせでありました。



桜がおわると、お着物や帯にも藤の柄が出てまいります。

桜は、枝に満開の桜を描いたり、花びらだけを散らしてみたり、

夜桜の雰囲気や、輪郭だけで桜をあらわしてみたりと、様々に表現が出来ます。

それに比べると、藤はあらわし方はほぼ決まってまいります。





枝から下がる藤の花、この構図こそが藤らしさを一番引き立てる絵であり、

色々構図をかえて創ってみたこともありますが、やはり「藤らしさ」と言うことでは

オーソドックスな構図が一番のようです。



上の染帯は、白地の大しぼの縮緬に、藤の枝と花をえがき

花には共の色糸を使い、刺繍を入れてあります。

太鼓の上下に余るくらいにたっぷりと柄を入れてありますので

お太鼓に締めたときにも、余韻の残る柄行となっています。

(たれ先には、ひらりと舞う藤の花びらを描いてあります。)



人の感性というのは、贅沢なもので

この間まで桜、桜と騒いでいたのに、盛りを過ぎればすぐに

新しい季節感を求めて行きます。

でも、この季節感を楽しむ気持こそが四季の季節感が豊かな日本人の感性であり

日本の着物をつちかってきた土壌でもあります。



そんなわけで、桜ほどの数ではありませんが、

毎年藤の柄のお品もお揃えしております。

前に描きましたように、構図は同じ様な絵になりますので

刺繍だけで藤をあらわしたり

(とっても素敵な帯でお作りいただいた方には大変好評でしたが、

 うまく写真に撮れず画像が載せられませんでした。)

藤色を使わず藍の色だけで友禅をさしてみたり、

藤の柄の小紋の型紙を使い染帯にしてみたりと、

雰囲気を変えながらお創りしております。



色々創ったつもりでも、気がつくと皆さんにお召し頂いて、

この春のお出かけにお役に立ったようでした。

一度ご覧になった時には、季節感のはっきりした柄ゆえにお迷いになって、

ちょうどシーズン間近になられてから「やっぱりあの帯」と、おいでになり、

申し訳ないながらも、来年用のご注文とさせていただいたお客様もありました。



そのお客様曰く、「季節感を楽しむには、決断力が大事だわ!」とのこと。



お着物はデザインが変わることもなく、一つのお品でも永く大事にお使いいただけます。

ご自分の本当にお気に召したお品なら、その時期が来るたびに一番のお洒落ななりが楽しめるはずです。



これからの季節は、袷から単衣、薄ものとうつり

よりいっそう季節感のはっきりしたお品が多くなってくる時期です。

ちょっとした取り合わせや工夫で、お着物ならではのお洒落が

一番楽しめる時期でもあります。

暑い夏を、涼しくお洒落な季節にかえる、そんな気持でお着物お楽しみ下さい。

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