平成11年の1〜6月の分です。


5月23日

スピッツ

先日お仲間うちの呉服屋さんからお話があり

「スピッツ」のCDの写真撮影へ行って来ました。



今度のアルバムと題名が花鳥風月なので

和のイメージで写真を撮りたいとのことでしたので

スピッツの皆さんご本人達がお召しになる男物のお着物4セットを

協力の依頼がありました。

衣装を用意してスタイリストの方にお選びいただき

お着付けなどは専門の方がいらっしゃるので

当日は見学をかねて伺いました。



出来上がりのアルバムはお着物姿の方の写真が中心で

私たちがご用意したお着物を着たスピッツの写真は

アルバムに入っているポスターに使われておりました。

(ちょっとデフォルメしてあるポスターなので
 お着物のイメージがあまり伝わらないのがちょっと残念でしたが・・)



最近では、テレビやコマーシャルなどでも

志垣太郎さんの車のCMや、柳葉敏郎さんの日本酒のCMなど

お着物姿を取り入れたものがけっこう増えてきているような気がします。

演歌や和風のイメージが売りの方だけでなくても

ちょっとイメージチェンジでという方も多いのではないでしょうか。



残念ながら街中にお着物姿が少なくなってしまっている昨今ですので

お着物姿が自然と目に触れるというのは、普段お召しにならない方にも

「あ、着物姿もいつもとまた違う雰囲気でお洒落だな」と

思っていただけることが少しでも増えれば、うれしいことだなと思います。



しばらく前は、お中元のコマーシャルというと

夏のお着物に日傘を差して、風呂敷包み、というのが定番だったような気がします。

品もあって、今は逆に新鮮に映るのではないでしょうか。



お着物を着る機会が少ないともいわれますが

普段のお着物は逆に着ていってはいけないところもほとんどないと思います。

ぜひお気軽にお着物をお召しになってみて下さい。





5月12日

「ちぢみ」と「クレープ」

ちぢみは、強い撚りを糸にかけて縮緬風にシボを出した織物ですが

和装,洋装を問わず幅広く使われております。

クレープという呼び名もありますが、最近ではまたちぢみという名称が復活してきている様です。

クレープよりちぢみという呼び方の方が若い世代にはかえって新鮮に

聞こえるとのことからだそうです。

何でも横文字が格好良く見えるのでモダンな雰囲気と使われることも多いようですが

時がたち、元の原型が忘れられるとともに古来の物や古典的なイメージが

あらためて注目されるのは色々な分野でも見られることと思います。



流行の変化も早く、ファッションリーダーに近づこうとすることが

おしゃれと感じられる昨今ですが、

逆に、自分なりの個性や取り合わせの自由度が高く

同じ品や古い品であっても十分にオリジナリティーが出せるお着物は

ファッションの一つとして今までの観点とはちがって

見直されているところもあるようです。



お茶や踊りのお稽古をしているとか、お母様がよくお召しとかでなく

歌舞伎を見に行ったときや、お友達のカジュアルなお着物姿を見た時に

ある日突然、急にお着物が着てみたくなった、そんな方はずいぶん多いようです。



身近でなかった分、いざ着てみると

見ていただけでは分からない、お着物本来の着る楽しみが感じられ

取り合わせの楽しさや、季節感、自分なりの着こなしの楽しみなどなど

お着物の奥深い魅力が、自然と感じられるようになるようです。



お母様のお着物をなおしてお召しになって

お母様とお着物という共通の話題ができて、より仲良くなった

なんてお話を伺うと、私共もうれしくなります。



本来もっともっと、身近で自然な物であってほしいお着物です。

季節もよく、お出かけにも楽しい時期ですので、

是非お気軽に皆さんお召しになって下さいませ!





4月25日

着物でオペラを楽しみませんか

昨年オープンいたしました、「新国立劇場」にあります

オペラ、バレエのための専用ホール「オペラ劇場」で

お着物姿で、オペラを楽しみませんか。





演目は、ロシアの文豪ドストエフスキー原作の「罪と罰」。

愛と純粋な心による「救済」を描く長大な物語を、

日本のオペラ作曲家として高い評価の原嘉壽子さんが作曲した作品です。





      新国立劇場の主催の公演は、
      海外の歌劇場のそのままの公演ではなく
      オリジナルの編成のみでの舞台となります。
      「罪と罰」は、文学作品をオペラ化した
      新国立劇場のシリーズで、泉鏡花原作の「天守物語」に続く
      第2作となります。

お席も、オペラ鑑賞の楽しみの一つである音楽が

最も楽しめる、正面中央の良い席を御用意しました。





観劇後は、劇場の上にありますイタリアンレストランで

お芝居の感激のさめないうちに、美味しいお食事とともに

舞台の余韻をお楽しみ頂きたいと思います。



私も先週、新国立劇場でオペラを見てきましたが
大変にゆったりとした雰囲気の劇場で
舞台だけでなく、エントランスから始まり
その周りの雰囲気も、今までの劇場とひと味違い
お楽しみいただけることと思います。



日時   6月19日(土) 午後3時開演

場所   新国立劇場 オペラ劇場
         東京都渋谷区本町1-1-1   Tel 03-5351-3011
         (交通のご案内)
           京王新線(都営新宿線乗り入れ)「初台駅」より徒歩1分。
           << 京王線は停車致しませんので、御注意下さい。 >>

定員   10名

会費   観劇、お食事共で 15.000円



    6月の後半ですので、
      お単衣でも、少し早めの薄もののお着物でも
        楽しい時期と思います。

     せっかくの機会ですので、ぜひお着物姿でどうぞ!





4月1日

もっと広がれ着物のせかい

 四月は、新年度の始まりでもあり色々な制度の改正もありますが
この春からは、中学校の正課の授業として「和裁」と「着装」が
取り入れられることになりました。

 また、現在は洋装が皇室の正装とされていますが、今後は国内外をとおして
和装が皇室での正装に戻ることになりました。

 なんていうニュースが流れれば嬉しいなと思い、
4月1日のエイプリルフールで書いてみましたが
まるっきりの嘘でもなく、実現するかも知れないことや
常々不思議に思っていたことです。

 中学校の正課に「和裁(ゆかたの)」が取り入れられる
事にはずいぶん 現在運動が進んでおります。
 和裁や着装は単にその事自体の知識や、技術を、方法を学ぶだけでなく
そこから広がる幅広い知識や長い間に積み重ねられた知恵や、
様々な日本の伝統などを自然と身に付けることが出来ます。

 本来、着物についての知識は家の中で自然と受け継がれていました。
親から子、孫へと家族の流れとともに伝えられ
時節ごとの行事や、習慣、作法なども一緒に普段の生活の中にありましたので
特別なものでなく、もっと日常的で身近なものだったはずです。

 授業として学ぶことは、知識を身に付けることが最初でしょうが
季節を感じたり、今まで忘れていた事に気付き、生活の中に気持ちの豊かさが
増える事のきっかけになればと思います。

 また着物の着装も、やはり自然に生活の中で教えられていたものでしたが
その流れがとぎれてきてしまいましたので、お着物を着る時も人に頼んで
着ることが多くなってきてしまいました。

 どうしてもお人により着方や、紐の絞める位置一つとっても違いますので
ご自分で楽にお召しになるのが、一番お着物を楽しくお召しに慣れることと思います。
(美容室などでも、お着付けを習ってはいるがご自分ではふだんお召しにならない方も
 いらっしゃいますので、どうしても楽に着るというよりは、きちんと着崩れないように着る
 という着付けの仕方になってしまいますので、着物を着ることを苦しく感じてしまう方も
 少なくは無いかと思います。)

 楽に来て楽しんでこそのお着物と思います。
もっと身近なものとして、楽しんでいただければなあと思います。



 皇室の正装についても、現在は皇室典範により洋装が正装とされております。
文明開化の頃に、当時日本よりも先進国であったイギリスの様式を取り入れた
服装が現在の正装です。

 今では日本も経済や技術なども、私達がふだん思っている以上に
国際社会の中では大きな国となっていることと思います。
 長い伝統と文化や豊かな自然と四季などを持っている国でもありますので
自分達の足元にあるものをよく理解し大事にすることが、より他への深い理解と
協調に繋がるものではないかと思います。

 着物に限らず、海外から日本を訪れる方は、日本の文化に大変興味と憧れを
持っておいでになる方も多いです。でも日本の方がそれほどに自分達の文化について
興味が少ないことに、びっくりするお話も聞きます。

 私共の店のそばにも、海外の国から派遣されてくる方の多い日本語学校があり、
お遊びにおいでになったお客さまからよく伺います。

 私も海外の方とお会いする時は、同じようにスーツやタキシードを着ていても
体格が違いますので、大分見劣りしてしまいますが、着物を着てゆくと
自分でも何か自信が出ますし、周りの方も喜んで下さいます。
 着ているもの一つについても話題も広がり、楽しいものです。

せっかく、すぐそばに多くの伝統、文化がありますので、
もう一度あらためて見直してみるのも良いのではないでしょうか。





3月23日

小物のお洒落 「帯留め」

いよいよ春本番の楽しい季節となってまいりました。
今年は桜の開花も早いとの予想ですので
お着物でのお出かけも楽しいのではないでしょうか。

季節感や時期をあしらったお洒落ができるのが
お着物ならではの楽しみの一つです。
桜のお着物や帯をお作りになられるのは最高のお洒落ですが、
「まだ時期のお品をお作りになるのはこれから」という方には
帯留めでのお洒落をお勧めいたします。

私の家内の帯留めです。

左上より
九谷焼、有田焼、陶器で梅の柄を扇面に描いたもの
珊瑚の帯留め
 (裏はブローチと兼用ですので
  下にあるブローチの針に通す帯留め金具を使います。)
象牙の帯留め、漆に蒔絵の塗り物の帯留め
パールに金の金具の帯留め

自分で買ったり私が見つけた物もありますが
母や祖母からもらった大事にしている品もあります。


帯留めは、帯締めの変わりに使いますが
ふつうの帯締めより幅の細い「三分紐」を使います。
帯留めの後ろには三分紐を通す金具がついておりますので
そこに紐を通し、紐を帯に巻いて結びます。



ふつうの帯締めは結び目を前に持ってきますが
三分紐は帯留めを前に持ってきますので
結び目は後ろに廻し、お太鼓の中に隠れるようにします。

帯留めは、陶器などの焼物や、金物から、
七宝、パールや珊瑚などの宝石類と様々に種類があります。
洋装用のブローチなども帯留めと兼用でお使いになれる物もあります。

帯留めはお洒落着用にお使いのことが多いですが
珊瑚やパール、貴金属類の入ったお品は
フォーマル用としてもお使いいただけます。
(パールの帯留めは仏用として喪服にもお使いになれます。)

ご旅行に行かれた時に、お土産屋さんで探してみると
それぞれの土地での産物などを活かしたお品が
見つかるはずです。

以前は、帯留めも凝ったお品をお使いになった時期もありましたので
古道具を扱うお店やアンティーク・ショップなどを覗いてみると
思いがけない掘り出し物があるかも知れません。
お母さまやお祖母様のたんすにも、大事にしまってあるお品が
眠っていたりするかも知れません。

細工や加工の凝ったお品は、最近ではできないようなお品もありますので
大事にお使いください。気が付かない内にどこかで擦ったりしているうちに
帯留めに傷がついたり、出っぱっている所が欠けたりしますので
気を付けてお使い下さい。
(逆にお茶の席などでは、お道具を傷つけたりするといけないので
 お使いにならない方がよいかと思います。)

帯留めは買うだけでなく、ご自分で作るのも楽しみの一つです。
お箸置きや、ブローチ、アクセサリーに帯留め用の金具を付けることで
帯留めとしてお使いになれます。



写真のお品は、
 春らしい桜の柄と、
 今話題の「団子3兄弟」をイメージしたお団子の帯留めです。
(どちらも、本来はお箸置きでした。)

お箸置きは5〜6個のセャgで売っていることが多いので
お友達同士で一つづつお使いになるとよいですよ。

洋服用ののアクセサリー類や箸置きには
帯留めに使うには少し大振りの物が多いので
あまり大きすぎるとせっかくの帯の雰囲気を壊してしまうこともありますので
少し小振りの物をお使いになると良いでしょう。
(あえて大きいお品で雰囲気を出すという手もありますが。)

アイデア次第で、楽しみは広がるはずです。
季節感を出してみたり、帯留めの取り合わせで
1本の帯でもその演出をかえることで
雰囲気をかえられます。

例えば
 流水の柄の帯などに
  春なら桜を、秋なら紅葉を 帯留めで使うことで
  季節感の演出が楽しめます。

 今の時期なら桜の染帯に
  盃やお団子の帯留めで、お花見や「花より団子」
  なんていう演出も面白いでしょう。

また帯留め自身だけ出なく、三分紐の色合いで
雰囲気をかえられるのも帯留めを使う楽しさです。
三分紐も色が沢山揃っておりますので
同じ桜の帯留めに、
 花の盛りは桜色の紐、
 散る頃になれば葉を思わせるきれいな緑の紐、
を使うことで、とってもお着物らしいお洒落が楽しめます。



着物や帯だけ出なく、小物一つにも自分のこだわりが持てて
それが表現できるところがお着物の楽しみ方です。
是非、帯留めをアイテムの一つに取り入れてみて下さい。
お持ちのお着物の着こなしの幅がまた一つ広がることと思います。






3月1日

「きもの呉盟会」の桜の集いのお知らせ

玉川屋呉服店の加盟する「きもの呉盟会」では、4月4日に白金八芳園で「桜の集い」を催します。

八芳園は都内でも有数の桜のきれいなお庭で知られております。

当日はカメラマンが、おいでの方のお写真をお撮りし、

(撮ったお写真は後日お送りいたします。)

八芳園の中にあります、お茶室でお抹茶を一服召し上がっていただきます。



堅苦しい雰囲気でなく、春の気持ちの良い季節に

ご参加も無料ですので、お気軽にお着物を楽しんで頂くきっかけになればと思います。



詳しくは「きもの呉盟会」のホームページで御案内しております。

ご通知が遅くなり、先着100名様の残りも後わずかとなっておりますので

お申し込みの場合は、 玉川屋のホームページよりの申し込みと ご明記くださいませ。


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