平成10年の7〜12月の分です。


12月8日
「日本のおしゃれ展」 3回目の公開です

池田重子さんのコレクションから選りすぐりの、
江戸末期からのお着物や、帯留めなどを展示する
「日本のおしゃれ展」が今月19日より、伊勢丹美術館で開催されます。

池田重子さんは古い着物のコレクターで、お店ももっており
着物のコーディネーターやデザイナーとしても活躍していらっしゃいます。

所蔵のお着物を公開する「お洒落展」は今回で3回目を数えます。
江戸末期から明治、大正、昭和、平成にかけての、豊かな季節感の着物や帯、
着物ならではの凝りに凝ったお洒落心あふれるお品を毎回見ることができました。

それぞれの季節の花や風物、スキーをしている柄や、鮎の解禁に合わせた柄などもありました。
友禅や、絞り、刺繍等の様々な技工、振袖から江戸褄や織物、薄物と幅広いお品を
現代でも通用するコーディネートで組み合わせ、展示してあります。

お着物だけでなく、彫金や、宝石、彫り物などの帯留めや、刺繍の半襟なども
展示され、今のお着物には少なくなった、こだわりのある着物や小物を
楽しむ事ができます。
そのお洒落のエッセンスは、今の私達の着物の取り合わせにも十分活かせることが
できるはずです。

展示されている品々はどれも凝っていて、持ち主の方が誂えてお作りになったものが多いようです。
今はお着物のリサイクルや、古着屋さんも沢山あり、ご利用される方も多いようですが
以前はお着物はそれぞれの方にとり、単なる衣装という以上に価値や思い入れのあるものであり
気軽に人手に渡せる物ではなかったはずです。特に、季節毎に凝ったお品を誂える事の出来るような
上流の家では、様々な理由から、止むを得ずお着物を人手に渡さなければならない時でも
あまり他人に知られたくないことも多かったはずです。そのようなことからそういった家から
お着物を処分する時のルートが 自然に出来てきたの出はないかとも思います。

ともかく、その豊富で楽しいお着物や帯を見ることが出来るのは
お着物ならではの楽しみを更めて感じることが出来る事と思います。
前回や前々回の展示を見にいったときは、お若い方からご年配まで
お着物姿でおいでになっている方も沢山おいででした。
自分らしいお洒落の仕方で、お着物姿でお出かけになるのも楽しいのではないでしょうか。


「日本のおしゃれ展」

  期間   12月19日(土)より 1月18日(月)まで  
        (1月1日、2日は休館日)

  会場   伊勢丹美術館  (伊勢丹デパート 新宿店 新館8階)

 開場時間  午前10時より 午後7時30分まで  
        (12月31日、1月3日は 6時にて閉館、
         最終日(1月18日) は  5時にて閉館。)

  入場料  一般 900円
       大学生、高校生 700円、  中学生、小学生 500円



「追伸」
     先日、私共の加盟する呉服専門店の組合「きもの呉盟会」の企画による
     「きものクルージング」の様子が、雑誌「着物サロン」に掲載されております。
     是非ご覧くださいませ。
     これからも色々な企画を立ててまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。





12月1日
娘と羽根つきをして・・・

この間の日曜日に娘と羽根つきをしてきました。

祖母(娘から見るとひいお婆さんですが)に前からねだっていたようですが、
デパートの和風雑貨を売るお店で見つけて買って貰ってきたのです。
買うまで色々さがしていたようでしたので、更めて探して見ると
どこにでもあるようでなかなか売っていなかったのです。

近くで広い場所ということで出かけたのは
渋谷の道玄坂の歩行者天国でした。
(広い公園という事にならないのが、渋谷に住む子供のかわいそうな所です。)

賑やかな日曜日の渋谷で羽根つきをしている光景も
よほど珍しいようで、ずいぶんと人が見ながら通りすぎてゆきましたが
「羽根つきしているのを見るのって久しぶりね」とか
「珍しいね」、「いいわね」、「今度やってみようか」
なんて声が、通りすぎざまに聞こえてきました。

そんな声を聞きながらふと考えてみると
風物詩といわれながら、頭の中のイメージにはありながら
実際には見ることの無くなってしまった光景って結構あるような気がしました。

お正月なら羽根つき、獅子舞、凧揚げなんかもそうじゃないでしょうか。
着物姿で家族揃って元旦におせちを囲む様子も少ない気がします。
今は元旦からコンビニに行けば何でも揃う時代ですので
暮れにお正月用の物をまとめて買いに行ったりって事も無いことと思います。

何でも便利にはなりましたが、逆にその時期を感じさせるものも少なくなりました。
その時期のものというのは、食べ物では「旬(しゅん)」という言葉がありますし、
景色や花にも見頃の時期があります。昔から伝わる、歳時記や風習、習慣もそうです。
ともすれば一年中同じ様に過ぎて行く生活の中のアクセントといえるのではないでしょうか。

以前は生活の中に自然とそういったものはありましたが、今では逆に自らそういった時期の感覚を
生活に取り込むことによって、忘れていたものを思い起こすように努力をしないといつの間にか
無くなってしまいそうです。

お着物にも時期の柄があります。
梅、桜、藤、紫陽花、朝顔、紅葉といった、その季節を表す花。
十二支(干支)、雛祭り、花火、クリスマスなど、その時期の事象を表すものなど
色々あります。

時期のものって着る時期が限られていて勿体ない・・・
そんな風にもよくいわれますが、一年のうちで着られる時期は決まっていますが
お着物って流行もなく数年で着られなくなってしまう事もないので
何年も、何十年もその時期が来るたびに、旬の一番素敵なお洒落が楽しめるのです。
そういった季節感を楽しむのは、豊かな四季に恵まれ、永い伝統の文化や習慣に培われた
日本のお着物ならではの楽しみのはずです。

お着物も一番最初はオールシーズン安心して着られるくせの無い柄が良いですが
色々と着ているうちには、お着物ならではの着こなしや取り合わせに
深い楽しみを感じるようになるはずです。
着物や帯でなくとも、帯締めなどの小物の色合わせや、帯止めの金具などでも
季節感や取り合わせの演出は十分楽しめます。

いかに一味凝って御洒落をするか、この取り合わせの趣向が他に人に分かるかな?
などと、実際に着るその前に色々考えるのが楽しくなってくるようなら
きっとお着物は、ご自分のファッションの重要なテーマの一つとなっていることでしょう。

ただ単に、帯と着物、小物と合わせてお召しになるのではなく
積極的に楽しもうとすると、その世界はどんどん深くなって行く事と思います。
暮れから、新年にかけて、お集まりやお出かけの機会も多く
気軽にお着物を着るチャンスも多いはずです。
是非その時にはいつもよりなにか一つちょっと凝ってお召しになって見て下さい。

素敵なお着物姿が街中に増えると、
「あ、着物っていいな!」「やっぱり私も着てみようかな」という方もきっと増えて
楽しい輪が一層広がるはずです。

ちょっと遊んでみました!


ちょっと遊んでクリスマスの柄を染めてみました。
左のサンタとトナカイが付下で、右のリースの柄が染帯です。
私達も染めやさんも、商品ではなく楽しい柄をと自分達で楽しんでしまいました。
若い時は勿論のこと、お年をとっても渋いお着物にリースの柄の染帯なんて、ちょっとお茶目なお婆ちゃまで可愛いのではないでしょうか。





11月8日
「男の着物大全会」参加させて頂いてきました
10月最後の土曜日に、「男のきもの大全」という男の着物のホームページを開いている
早坂伊織さんの主催の「男のきもの大全会」へ、参加させて頂いてきました。
「男のきもの大全」のページへはここをクリックして下さい。

会は芝浦の日本料理店で(ちょうど先月に私共で着物クルージングをした会場のすぐとなりでした)
3時よリスタートで、参加の皆さんの自己紹介とコメント、ホームページで収集された
アンケートの結果報告、フリートーク、が第1部となっており、休憩中に取材に着ていた
着物サロンのの撮影があり、6時から第2部として、食事を取りながらの懇親会が行なわれ、
途中ではクイズ形式の賞品も盛りだくさんの
抽選会など、企画でいっぱいの楽しい会でした。

私は当日、都合により途中から参加させて頂きましたが、
(ちょうどフリートークの前の休憩の時間でした)
どんな様子かと思いながらエレベーターを降りると、思い思いのお着物をお召しになった男性方が
お店の前で集まって皆さんで歓談中の所でした。これだけ男性のお着物姿が沢山の光景は
あまり無いので、知らない人がいきなり入ってきたらちょっと驚かれるのではないかと
思うほどでした。

邦楽の会などでもお着物姿の男性が集まられることがありますが黒の紋付きなどが中心で
今回のように普段着の気軽な色々な着方で集まることはまず無かったのではないでしょうか。

今回参加して、皆さん本当にお着物を楽しんでいて、やはり着て楽しんでこそのお着物と
更めて強く感じました。
お召しのお着物も、着流しの方もいれば、袴姿( 袴もそれぞれに色々な仕立ての袴をお召しでした)、
洋装と和装を組み合わせたお召物、古布をパッチワーク風につなぎあわせて仕立てたお着物などなど
それぞれのこだわりでお洒落にお召しでした。

見ていて思ったのは、着物って基本とされている形がありますが、
出来上がりを決められた形だけでなく一人一人の着物があってよいはず
、ということでした。
今回の皆さんの着方も、色々な着方がありましたが、決してどれも変ではなく、
皆それぞれの味があり、面白さがありました。
伝統的に着るのも、洋装と組み合わせて着るのも、人によりどちらが好きか好みはあるはずですが
そこに自分のこだわりや、主張が表せるのではないでしょうか。

着物は訪問着から付け下げの登場、袋帯からよりしめやすい名古屋帯の考案など、
常に変化してきているはずです。以前はもっと日常的なものであったので、
(フォーマルな着物はまた別なところもありますが、日常普段着るものに関しては)
常により着易く、お洒落に、便利にと工夫されてきました。

着物の仕事にたずさわりながら、「着物ってなに?」と、ふと思う事が時々あります。
あの形が着物なのでしょうか、それとも絹や綿の自然の素材が着物の原点なのでしょうか、
手で伝統的な技法で染めたり織られたりした生地が着物なのでしょうか?
じゃあ、着物の下にシャツを着てはいけないの? 化繊の素材は着物じゃないの?
そんな風に思うのです。
着物はどこから来て、これからどこへ行くのか。
これから着物はどんな風に変化してゆくのか、それとも変わらないのでしょうか。

着物って、一人一人に一つ一つの着物があるのではないでしょうか。
でもそれは頭で考えるのでなく、気軽に着て楽しんでみて、そこから出てくるはずです。
新しい発想や、工夫や、また伝統を守ることも、こだわりも原点は楽しむ事であるはずです。

今の着物は、決まり事や、しきたりなどが先に立ち、本来の装うことの楽しみが
あまり感じられていないのではないでしょうか。
楽しむ事が先に立つと、決まり事や、しきたり、取り合わせなど、それまで難しいと思っていた事が
逆に自分のこだわりの見せ所となって、より楽しみが深まるはずです。

そんな、まず着て楽しむ事を、更めて感じさせてもらったこの日でした。
なにより、こんなに熱気のある着物姿の集団って、とっても新鮮で、面白かったです。
(私は途中で失礼しましたが、2次回、3次回と流れた方達は朝4時頃まで着物談義で盛り上がっていたそうです。)

会の主催をされた早坂伊織さんは、ホームページの内容とボリュームをご覧頂ければ
お分かりになるとおり、とってもお着物の好きで熱意のある方でした。
盛大な会を準備され、アンケートの集計や司会進行などなど、色々とご苦労も多かった事と思います。

私共呉服の業界も色々な気軽に着物をお召し頂くための 道を作ってゆきたいと思っていますが
今回のような、業界の方でない本当にお着物好きの皆さんによる集まりは、また新しい道が
出来てゆくのではないかと思います。この業界にたずさわる者として、そんな道を作るお手伝いが
微力ながらも出来ればと思いました。




10月15日
着物クルージングのご報告
10月11日、秋晴れの日曜日、「きもの呉盟会」青年部主催の
東京湾レストランシップ「ヴァンテアン」号での着物クルージングは
55名のお客様のご参加で、楽しく、にぎやかにお着物を楽しむことができました。

詳しいご様子のご報告です。 こちらをクリックして下さい。(きもの呉盟会のページへリンクします)




9月7日
娘の宮参りと着物
少し前になりますが、4月に娘の宮参りへ行って参りました。
お宮参りは、生まれた子供の健康と幸福を祈願し氏神様へ参るとともに
母親の忌み明けの義の意味もあります。
不思議なもので、その一日をすぎると
親として子供の成長にほっとするところがあります。

私は男児の二人兄弟で、子供は女の子二人ですので
私が着たお宮参りの初着を子供に着せることは出来ませんでしたが、
お宮参りの1週間ほど前に古いアルバムを整理していたところ
私の赤ん坊の頃の宮参りの写真が出来てきました。
その時に着ていた母の着物を、
結婚して家内が母から譲り受けていたのを思いだし
娘の宮参りの当日に家内が着てみることにしました。

左の写真が今年の私の子供の宮参りの写真で
右の写真が私の宮参りの写真です。

2枚の写真を見て感じる事は
かわらず続く家族の流れです。
そしてその流れと共に
受け継がれ使われるお着物の事です。


ながい間をおいて、場面が変わりながらも
同じものを使い続けることが
写真で更めて見て見ると
なかなか良いものだなあと思いました。 私共の結婚式の時にも
母が着た打掛を家内が着て式を挙げ、
また娘がいつか着る日まで大事にとってあります。

一つのものを受け継ぐことは
譲る方にとっても、譲られる方にとっても
喜びのあることと思います。
そのお品に対してそれぞれの想いがより大きければ
その喜びもまたより大きいことと思います。

一つの品を大事に永く使うことの出来る着物の知恵は
単に物を大事にするだけでなく、そういった流れを
大事にしようとする、そんな気持ちから
生まれて来たのではないかとも思います。

私は呉服屋ですので、お着物については
そういったお話しもよく伺いますし、自分でも感じますが
お着物に限らずとも、日常の生活の色々な場面で
ちょっとした事に気持ちの豊かさを感じることが出来たり
色々な絆を感じたりすることが出来ることと思います。

そんな気持ちを大事にしてゆくと
普段の生活もまた気持ちの豊かなものになるのではないでしょうか。
最近「和」のものが更めて見直されてきていますが
そんな日本人の本来の気持ちのものが
見直されてきているという事だと思います。

お宮参りを終えて、でき上がった写真を見て
そんなことを思いました。




8月18日
芭蕉布展と平良敏子さんのトークショー
9月の18日(金)から27日(日)まで、青山の草月会館の6階草月美術館で
国の重要無形文化財として指定されている沖縄、喜如嘉(きじょか)の芭蕉布展と
60余年に渡りその伝統を支えてきた
平良敏子さんのトークショーがあります。

平良敏子さんは、倉敷の軍需工場で終戦を迎えましたがその後
戦争が終わり荒廃した沖縄の伝統文化の復興のために
芭蕉布に情熱を傾け、手技の仕事を守ってきました。

芭蕉の木は外側は固く、中ほど柔らかな繊維ですので
木の皮をむいて晒し、それをヘラでしごいて灰汁と一緒に煮てしなやかにし
それを紡ぐという、まったくの昔のままの生産工程をとっています。
沖縄では一番柔らかな部分は着物に、少し外の固い部分は帯にと
むだなく使ってゆきます。

織物の各産地で、技術を伝承する人がだんだんに少なくなってきている中で
沖縄の芭蕉布は芭蕉布の保存会を中心に地元の若い方を中心に
次の世代を担う方も増えているようで、それも芭蕉布にかける平良敏子さんの
情熱の現われとも言えるのではないでしょうか。

ところ)  青山 草月会館  「草月美術館」
                 地下鉄 銀座線、半蔵門線「青山一丁目駅」より徒歩5分。
                     銀座線、丸の内線「赤坂見附駅」より徒歩10分。

 日時)  9月18日(金)〜27日(日)  午前10時より午後6時まで
       平良敏子さんのトークショー「対談、平良敏子芭蕉布を語る」は
         18日(金)、19日(土)、20日(日)、26日(土)、27日(日)の
          午後2時よりになります。

 主催)  沖縄県、NHK沖縄放送局

ご入場には、入場券(800円)が必要となります。
 会場の入り口にても発売しておりますが、ご連絡いただければ手配もいたします。

芭蕉布展の出展の作品は非売品となっておりますが、
会場内の7階ギャラリーにて、琉球染織工芸展が開かれており
 芭蕉布、琉球紅型、首里上布、読谷山花織、久米島紬、八重山上布、宮古上布、などが
  出品されております。こちらは販売もしておりますが、フリーの方はご入場が出来ませんので
  ご入場ご希望の方は、メールにてご連絡くださいませ。
  
ここをクリックして下さい。メールウインドウが開きます。

情熱をもった作り手の方のお話しを聞くのは
ご自分のお着物に対する想いを一層深いものにしてくれるはずです。
なかなかない機会ですので、私も楽しみにしています。




8月1日
着物地で作ったアロハシャツの展示会。


古い着物地で作ったアロハシャツの展示会が
玉川高島屋のアートサロンで開かれます。

京都のデザイナーの細川麻衣さんが
着物の生地の色や柄を生かして
配置して仕立てたアロハシャツ約100点が
展示されます。

19世紀に日本からの移民が
持って行った着物を現地で着やすい様に
仕立て直したのがアロハシャツの始まりという説もあるそうです。

デザインされた紋様と、豊かに組み合わされた色は
着物であれ、シャツであれ着る人に豊かな気持ちを
感じさせることが出来るのではないでしょうか。

「南の島の和服 細川麻衣 ハワイアンシャツ展」
  玉川高島屋 アートサロン
   (東急線 田園都市線 「二子玉川園駅」)
  8月6日(木)〜11日(火)
  入場無料




7月28日
越後の機屋(はたや)さんに柄出しに行ってきました。


大変久振りの更新となってしまいました。
これからもよろしくお願い致します。

7月の中頃に、塩沢や十日町を中心に越後の機屋さんを回ってきました。
以前から、月に1度くらいのペースで行っておりましたが、
今回の目当ては、来年の夏の織物の色出しと、この秋用の品を求めてです。

お着物の楽しみの一つは、ステップアップする楽しみだと思います。
若いときお召しになった色から、年齢を重ねるに連れてだんだんにお召しの色も
変化してゆきます。でも以前のものが着られなくなってしまうのではなく
帯の取り合わせや小物や着こなし方で、幅広くお召しになれますし
着なくなって何年もたつお着物が帯を取り替えることで全然違う雰囲気で
また着られることも楽しさです。

色だけでなく、着物や帯の素材も、
最初は使いやすい取り合わせの巾の広いお品をお選びになりますが
だんだんに季節の柄や、凝った素材のものに目がゆくようになるはずです。
そういったお品も、色々着て着慣れてみてからお使いいただいて
はじめてその人にぴったりとしたお着物姿になるのです。
そういった意味でも、着慣れるにしたがって自分の着こなせるお着物の巾も
徐々に広がってゆくはずです。

流行の早いお洋服にはない、そんな楽しみ方があるのに
いざお若いときに着ようとすると、そのご年代の本当にきれいな色目の
お品が少なくなってきています。
決して派手なお品というわけでなく、たとえシックな雰囲気であっても
着る方の若さとバランスのとれた、きれいな色目があります。

お店には、幅広くお品をお揃えして皆様をお待ち申し上げたいと
いつも思っておりますが、きれいな色目のお品が一番少なくなるのです。

織物は通常、何反分かをまとめて糸を染めて織りますので
後染めの染物と違い1反づつの注文は出来ませんが
機屋さんと色々お話ししながら少数の注文でも織ってもらっています。

機屋さんで型紙や見本の裂を見ながら
色や柄を選んでゆくのも楽しいものです。
そうやって気持ちを込めてお店に並べる品だからこそ
ぜひ十分に楽しんでお召し頂きたいと思います。

色や柄を注文すると同時に、小売屋の私達が織元の人から話しを聞いたり
日頃お客様と接する私達が、お客様の生の声を織元の人にお話しすることも
大事な事と思います。
(私達が簡単にできると思っていた事が実際は大変難しいことだったり
 その逆のことなどもあり、お品についての知識も深まります。
 例えば、なぜ明るい色目の塩沢紬が少ないのか? など
  お店においで頂いた時にそんなお話しもさせて頂きます。)

皆さんに気軽にお着物をお召し頂き、
その楽しさを感じて頂きたいというのは
呉服にたずさわるどの段階の者にとっても
共通のテーマですので、
これからもそういったつながりを大事にしたいと考えています。

一生懸命お品を作る人達の気持ちを皆様にお伝えすると共に
実際に着物を楽しむ皆さんからの、こんなお品が着て見たい、
こんな着物は出来ないの? といった色々なご意見も
また作り手に伝えられるような流れも作ってゆきますので
ぜひ色々なご意見をお寄せくださいませ。


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