トピックス、着物つれづれなるままに


お着物や和のものについてのトピックスや、思いつくままに色々書いています。
ご感想やご意見なもぜひお寄せください。
なるべく頻繁に更新するように頑張ります。
おいでになったら再読み込みして下さい。

平成18年の1〜4月の分です。

4月7日

「絹の肌触り」&「名物ご奉仕市のご紹介」


皆様いつも有り難うございます、

東京は桜の花が風に舞い散る、

春本番の暖かい陽気となってまいりました。



絹の屑などの天然素材の廃棄物を化学繊維や合成皮革にまぜると天然素材に似た肌触りになるとして、

車のシートや肌着などに使わ生かされているという記事を新聞で見ました。



良い生地のお品などは、お店で反物を巻いているだけでも

なにか心地よかったりいたします。



よく、お品の生地が良い悪い、といった話をしますが

見た目も自然と風合いや色映りが違う事もありますが

その触り心地、ひいてはお召しの時の着心地がなにより違う事と思います。



「生地の事までよく分からないのよね・・」とおっしゃる方も多いですが

難しく思わずに、色々な生地を手で触れてみると、

自然とご自分なりに感覚が出来てくるのではないかと思います。



お着物や帯をお作りになると、お襦袢はどうしても

付け足し的に思われる事も多いと思います。



でも、お店でよくお話をするのは

「一番肌に近く触れているのは長襦袢で、長襦袢の着心地によって 

  着物姿自体の着心地も変わってくる・・」 といった事です。



極端に書いてしまうと、

とてもよいお着物をお召しであっても、化繊のお襦袢をお召しならば

その肌当たりは化繊の着心地になってしまいます。



もちろん、化繊の素材にもお手入れがしやすかったり

お値段もお手頃だったりとメリットも多くありますし

お召しの時期やお出先、合わせる着物、TPOなどによっても

当然、襦袢のチョイスの仕方も変わってまいります。




お襦袢にはそれほど柄が付くわけではないので

生地質によってお値段も自然と変わってまいります。

「お襦袢にこのお値段は勿体ないかな・・」という事もあるかもしれませんが

薄色や柄の強くないお襦袢などであれば

後々になって色を染め直したり、袖口や裾など汚れた部分を隠して仕立て直したり、

といった事も出来るものです。



一番付け足しと思っていた長襦袢を、その質感、着心地、肌当たり・・・

といった事も大事に思いながら、ちょっと見直してあげて

単に色や柄だけではなくお襦袢をお選び下さると

心地よくお着物を楽しむという事が、また深まってくるかもしれません。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




4月にはいると、きれいに咲きそろう桜を横目に

玉川屋のお店の中は今ごった返して、来週のご奉仕市の準備中です。



きもの呉盟会の「名物奉仕市」は、加盟する40余軒の呉服店が

自分のお店の品に普段の正札から2割引から半額以下のご奉仕価格を付けて

会場となる港区・芝の東京美術倶楽部に持ち寄りまして、

皆様にお目にかけます。



今日はそんなご奉仕市の、ご紹介をさせて頂ければと思います。




ご奉仕市のなによりの魅力は、バーゲン品ではなく

東京の各地区を代表するお店の、選りすぐりのお品が

三日間限りのご奉仕値でお求めやすくお揃えしてある点です。



玉川屋でも今、ご奉仕市用の値札を付けている最中なのですが

会が終わった翌日の月曜日にはその札をはずして、

また元通りのお値段にてお店に並べます。

   

 (玉川屋では、お店のお品の7割ほどを会場に出品しますので

  いまは朝から晩まで、札付けばっかりしております・・)



玉川屋の、札付けの準備の様子もホームページでご覧頂けます

   



お洋服のバーゲンの様にお客様がご自分だけでお品を選ぶのではなく

ご案内をした各お店の方がお客様とご一緒にお品を選んでまいりますので

玉川屋から出品するお品も、お客様がお気に召して下さるのは勿論の事、

よそのお店の方から見ても「このお品で、このお値段なら とっても値打ちがある!」

そんな風に思って頂けるお品を出品しないと、お買い上げ頂けないのです。



そんな点では、それぞれのお店のお品やお値段の腕比べ・・

そんな感じの展示会でもあります。



帯のギャラリーには、玉川屋から出品するお品のご奉仕値も掲載してみました

会場には沢山のお品が揃いますが、ご参考までにご覧下さいませ。

   < 帯あそびのギャラリーはこちらから >




40件以上のお店が参加する「名物奉仕市」、

会場では「一軒一軒の呉服店が各店のブースを作ってお品を並べている・・」

と思われる方も多いのですが、実際には

"小紋なら小紋" 、 "紬なら紬" 、  "染帯なら染帯" 、

 ”訪問着なら訪問着” 、 ”振袖なら振袖”

と、各品種ごとに40数軒のお品を一まとめにしてお目にかけております。



礼装用から、お洒落着、 振袖や七五三の祝い着、男の着物、そして季節に一足先駆けての夏物まで・・

各お品ごとに、初めてご来場下さる方はびっくりするくらいのお品が揃っております。



 (数が多すぎて、何を見ていいか迷ってしまう方もおいでです。

  自分の目的をある程度決めてご覧になるのがこの会のよい品の探し方です!)




「どのお店のお品」ということなく、ご自分のお気に召したお品を

お値打ちなプライスで、沢山のお品の中からお選びになる事が出来るのが

この「名物奉仕市」の、もう一つの大きな魅力です。



会場の様子も、ご覧下さいませ。

      

      

      



 (準備の終わったところの写真ですので、お人が映っておりませんが

   期間中はご来客で一杯になります! )




呉服屋では、日々新しいお品を染め出したり、仕入れてきたりしています。 

季節のものを作ったり、お客様の好みを考えながらしているのですが、

ときには思いとは少し違って染め上がったり、

時期に間に合わなかったりといったお品も出来てきます。



自分のお店のお客様には、 ちょっと向きでないお品でも、

違うお店のお客様からお好み頂いたり、といった事も有ります。

そこは商売、いつまでも在庫で寝かしているよりはと、

呉服屋同士で、お品の交換会をしたのがこの会の始まりと聞いております。



せっかくなら、よいお品を沢山お揃えして、お求めやすくお客様にご覧頂こうと

50年近く続けて今回に至っております。

 (思い切ったお値段にて処分してしまうお品は、

   会場内の「半値以下コーナー」に、今も受け継がれております。)




年2回、春と秋に開催する「名物奉仕市」ですが、

春だけの特徴としては、「季節に一足早く、夏物がご奉仕」

  そして 「健やかな成長を祝う 七五三の祝い着もご奉仕」です。



シーズンに入るまだ前の時期に

お求めやすく、数多く揃う薄物は毎年ご好評を頂いております。

ワンフロアーをすべて夏物でお揃えした2階の会場は

一見の価値有りのお部屋です。



お着物のお好きな方には楽しみのいっぱいな「名物奉仕市」、

玉川屋のホームページでも詳しくご案内をしておりますので

ぜひご覧下さいませ。

  < ご案内のページはこちらから >




毎回、特に品揃えも豊富でお値打ちのあるのが「お振り袖」のコーナーです。

思い出と共に大事にお召し頂ける・・そんなお品が沢山に揃っております。

お知り合いにお振り袖をお探しの方がおいででしたら、

ぜひこの「名物奉仕市」をご紹介下さいませ。

 (ご紹介の方、お求めの方それぞれに

    玉川屋からプレゼントをご用意しております。)


● < 詳しくはこちらをご覧下さいませ >




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




春本番のお出かけにも楽しい季節です!   お気軽にお着物をお召しになって下さいませ!!




[ ページのトップへ ]

.
.
.
.
.
.
4月3日

渋谷の友禅流し


渋谷の地名には「谷」の文字が付き、おいで下さった方はお分かりになる事と思いますが

渋谷駅が一番底の、すり鉢状の地形となっております。



渋谷の玉川屋をもっと奥に入った住宅街の中には、旧佐賀鍋島家の茶園があった

松濤公園という閑静な公園があります。

公園の中にはいまだに水の涌く池があって、古くはこの一帯でお茶作りもされていたようです。



谷の渋谷には水が流れ現在でも、ご存じの方は少ないかもしれませんが

「渋谷川」という川が駅の脇を流れております。

今は、川に蓋をして上を遊歩道にした暗渠となっておりますため気が付きにくいですが

 (渋谷駅の線路沿いの宮下公園などがそうです)

渋谷から横浜に向かう東横線に乗ると、渋谷を出てすぐに川の様子が目に入ります。



小学校の音楽の時間に歌われる「春の小川」

この曲の小川は、渋谷川をモデルに歌われているのです。




渋谷から西に向かって歩いて行くと、「道玄坂」を登りながら「南平台」「青葉台」の地名があり

そこからまた下りはじめ「大橋」「池尻」「代沢」といった水にちなんだ地名が出てまいります。

世田谷の代沢付近を流れる川はこちらも暗渠となっておりますが

目黒区と世田谷区の境付近にある目黒川は、今も川の流れを部分的に残してあります。



普段は底の方に少ない水の流れる目黒川ですが

今の季節には川の両岸に並ぶ桜の枝が両側から川の上の空間に伸びて

とても綺麗な桜の風景を都会の街中に現してくれます。



       写真をクリックすると大きくご覧頂けます。



この付近は現在、池袋から渋谷まで続く地下首都高速道の工事中で

首都高三号線に合流するインターチェンジの工事が始まって、

綺麗な桜と高速道路が重なる様に見える、こんな景色もあります。



      写真をクリックすると大きくご覧頂けます。




東京の川では神田川や妙正寺川が、染め物の川として知られ

「高田馬場」「早稲田」「落合」といったその川沿いには未だに染め屋さんが多くある事は

お店やホームページでも時々ご紹介をさせて頂いており、

年に一度は、そんな染め屋さん方にご協力を頂いて「工房見学&スタンプラリー」を開いてもおります。

   (今年も、秋の10月のはじめに開催の予定です。お楽しみに!)



古くは、水が流れるところでは何処でも染めが行われていた様で

前述の目黒川でも、生地を川で洗う様子が見られたようです。



      写真をクリックすると大きくご覧頂けます。



今の様に高く固められた護岸ではなく、川へもすぐに下りられる自然の川だったようです。

桜を楽しみながら川添いを歩くと、所々に川の云われや歴史を紹介したプレートが立ち

その友禅流しの様子も紹介されております。



      写真をクリックすると大きくご覧頂けます。



プレートには「昭和30年代の初めまで・・」という文章がありますが

昭和40年近くまでは生地の染料や糊を流す様子が見られたようです。




渋谷は「新しい事の街」といったイメージが強いですが

実際は古くからの街であり、900年以上続く地元の八幡様のお祭りも秋にはあります。



渋谷の駅を下りるとすぐに「桜ヶ丘」の町名で桜の咲き並ぶ坂もありますし

代官山方面から旧山手通り、山手通り沿いには「西郷山公園」「目黒川」「鍋島松濤公園」といった

桜の綺麗なスポットや、落ち着いた公園などもあります。



「松濤公園」のそばには「戸栗美術館」「松濤美術館」などもあり、渋谷区の散策ルートの一つともなっております。

    「渋谷区散策ルート」は < こちらをクリック > 




玉川屋へお遊びがてら、

普段知らない渋谷の街を楽しんでみて下さいませ。



東京は桜の花も咲きそろい、いよいよ春本番ですが

「花冷え」の言葉も今頃の季節の陽気の変わりやすさをさす言葉です。

皆様お体にもご自愛の上、春のお着物をお楽しみ下さいませ !




[ ページのトップへ ]

.
.
.
.
.
.
3月11日

もうすぐ春


皆様いつも有り難うございます、

玉川屋呉服店の石井貴彦です。



今週初めには東京で春一番が吹いて、

いよいよ春本番へと向かう時期となりました。



同じ日の新聞には、越後の「雪ざらし」の生地が載っておりました。

積もった雪が溶け始める時に、

雪の表面に並べた麻の生地を漂白して色を引き立てる作用があるようで

やはり、冬から春へと向かう時期に行われる風物でもあります。

 (以前に玉川屋に越後の機やさんに来てもらって麻の織物や雪さらしについての

  トークショーを開いたこともありました。

  そのときの様子はこちらをクリックしてご覧になれます)



お店の中を飾る品も、段々に春らしく軽快な趣へとなってまいりますが

「薄手の羽織やコートはいつから着て良いの?」「単の着物はどの時期から?」

そんなお問い合せもよくいただきます。



「薄手の羽織ものは、お花見の頃からどうぞ・・」と、お話をしていたようですし

単衣の着物は6月からお召し・・、というのが一般的でした。



お花見の時期といっても、桜の花は以前は入学式のイメージでしたが

桜の開花も年々早くなる様で、今年は東京の開花予想は3月20日で

桜は卒業式、のイメージが強くなってまいりました。



単衣の着物も、本来の暦は盛夏の前後の6月、9月ではありますが

温暖化の影響か早いうちから大分暑さも増してまいります。



本来あった暦から、実際の体感の季節感がだんだんにはなれてくる中で

お客様にお話しする時には「自分なりの感覚で・・」とお話しする事が多くなります。



でもその「自分なりに・・」というのが逆に一番難しく感じる時もあります、

自分ではこれでいい気がするけれど、何処かへ行って間違いがあってはイヤだし・・

そんな風に思いながらのお出かけは楽しくなかったりも致します。



大きく分ければ、その前提として、

まずはフォーマルとカジュアルの区別をご自分の中でお持ちになる事かと思います。



フォーマル、礼装の装いは何か目的のある場に、装いを正して伺う事となります。

ご婚礼、お茶席、パーティー・・  

主催する方は、ご自分の思いや、しきたり、季節などを大切に考えながら、

その場の雰囲気や設えをご用意されているはずです。



そのような時には、出席する方の装いも

その思いや雰囲気を尊重しながら・・ということになりますので

以前からのしきたりや暦、季節感をふまえた装いでお出になるのが

先方にとっても喜ばれますし、ご自分にとっても気持ちが落ち着いて参加できることとなります。



他方の、カジュアルな装いはご自分のお洒落のために、自分の楽しみのために

お召しになることになりますので、色や柄も自分が好きな様に、

そして、暑ければ涼しい装いを、寒ければ暖かい装いを・・と

自分なりの思いや感覚で、お召し頂ければよろしいことと思います。



そんな風に自分の気持ちを装いに表すことが出来たり

先方にお伝えしたり出来るのは着物ならではの良さでもありますし、

自分一人だけが目立つのではなく、

さりげなくその場の雰囲気を引き立てることが出来るのも

お着物ならではであります。




春本番に向かうこれからの季節は

季節感の移り変わりや、段々に軽くなる取り合わせも楽しいですし

着物でお出かけをする機会も多くなる時期です。



来ている自分も楽しく、見ている周りの方も楽しくなる・・

そんなお着物でのお出かけを是非お楽しみ下さいませ。




「春浅し」「冴え返る」「余寒」「春寒」・・・

「立春」の後、暦の上で春を迎えたその後の寒さを表した言葉ですが、

次第に、

   「麗日」(麗らかな、明るい暖かさ」

   「日永」(冬から春へ、急に日がめっきり長くなった様に感じる様)

   「長閑」(のどか:穏やかなゆったりとした春の日の様)

といった、春の言葉がぴったり合う日が増えてまいります。



どの日が境目というのではなく、

ほんの数日の間に、春らしい日と寒さの残る日が混在しているのが

ちょうど今の時期になります。



春のくるのが待ち遠しい楽しい時期でもありますが

陽気の変わり目にもなりますので

皆様お体にも十分ご自愛下さいませ。




[ ページのトップへ ]

.
.
.
.
.
.
1月16日

つれづれ日記 「暮れから新年にかけての呉服屋の話、そして豪雪の越後へ」


皆様いつも有り難うございます、

玉川屋呉服店の石井貴彦です。



暖冬といわれ穏やかな12月でしたが

新年を迎えてからは大雪のニュースが各地から聞かれる寒さ厳しい冬となりました。



旧年中はご愛顧を賜り誠に有り難うございました。



気軽にお着物をお楽しみ頂くお手伝いに、

本年も努めてまいりたいと思っておりますので、

どうぞよろしくお願いを申し上げます。





年末から新年への呉服屋というと・・



以前は玉川屋のお店の周りも商店街でしたので

夜7時過ぎにご近所のお店の奥様方が片づけを終えてから、

「腰紐や伊達締めなどの小物が足り無くって・・」とか

「お正月は足袋は新しいのを履こう・・」と、

お買い物においでになる事が多くありました。



また、夜遅くなってから仕立て上がってくるお品もあり、

年が変わるギリギリまでお届けに出たり、テレビで紅白を見ながら店番、

なんていうのが毎年の大晦日でした。



新年も、初出社にお着物をお召しの方が多かったので

朝、玉川屋でお着付けをしてお出かけになる、といった方もありましたが

だんだんに、銀行も大晦日がお休みになり、年末の休暇の始まりも早くなり、

新年の初出社の顔合わせといった行事もなくなり、

呉服屋からもそんな新年早々の忙しさが少なくなってまいりました。



三が日はお買い物も出来ないから、年末に色々買って貯めておいたり、

お節料理やお餅を食べて・・ と入った風景が普通でしたが、

コンビニもスーパーも飲食店も、早いうちから店を開ける様になり

お正月だから・・ といった、特別な感はずいぶん無くなってまいりました。




玉川屋のお店の周りも、商店街からオフィス街へと変わってまいりましたもので

大晦日のお届け物が一段落すると、お店の仕事も落ち着く様になってまいりました。



私も、このお正月は、大晦日の夕方から新潟へ行き

初めてお正月をお店から離れて過ごしました。

仕事を兼ねてではなかったのですが、塩沢や湯沢へ行ってまいりました。




元旦は良いお天気だったのですが、帰る日は前日の夕方から雪がつづき

かなりつもっておりましたので予定より早めに出発をしました。



湯沢のインターから関越自動車道に乗り、

新潟と群馬の県境で山を越える関越トンネルに向かう間も

どんどん雪の降り具合も強くなってまいりました。



「国境のトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」は、

川端康成の「雪国」で越後側に向かってトンネルを抜けた時の様子なのですが

   (このときのトンネルは、上越線の清水トンネルになりますが)

東京への帰り道は、逆にトンネルを抜けて群馬側に出ると

天候はだいぶ落ち着いてまいります。



東京へ戻ってからは、その日の湯沢や苗場のスキー場での雪崩や

上越線の脱線のニュースが報じられ

あの雪がますますひどくなっていることが感じられました。

そのまま雪は降り続き、大雪の被害が各地から伝えられる今日へ至ります。




越後には紬や麻の産地の十日町や小千谷などがあり

十日町へは関越自動車道の湯沢の先の六日町や塩沢のインターから

一山を越えて入ります。

そこから国道117号を上がると小千谷へと続きますが、

逆に南へ向かうと、豪雪の大きな被害が伝わる津南や長野県の飯山へとつながります。



湯沢を出る時も降り積もった雪で道幅も狭く

スキー客の多い道では対面の交通に滞りが出て渋滞するところもあったくらいで

雪が多い土地柄ではあっても、この大雪では日常生活にも色々な影響が出てきます。



そんな今年の冬の豪雪を見ていると、

今でこそ、関越自動車道や上越新幹線があり、

一般道路も湧水の設備などがあり整備されていますが

それ以前の頃の、冬になれば雪に閉ざされてしまう時には

そんな気候や環境だからこそ手を掛けた織物などが、

じっくりと作られることが出来たのかなと思います。



交通網や産業などの、便利さがない分、手のかかる仕事にじっくりとかかれる

そんな環境が以前にはあったのかもしれません。



今日も袷の着物にコートを着てお出かけをする寒い季節ですが

この週末には、そんな越後の機屋さん達と

何度目かの、夏の薄物の準備をする時期になります。



一昨年の地震のことなどもあり、小千谷の夏の麻のお品なども

以前に比べると少なくなってきているようです。

量的なものもそうですが、色や柄など多様多種なお品があったものが

だんだんに限られて来ている気もします。




それに反して、お着物をお召しになる方の感覚からすると

冠婚葬祭や人生行事などでお召しになる事から、

ご自分のお洒落、ファッションの一つとしてお召しになる事へ、と

移ってきている気がします。



「昔ながらの手を掛けたお品が少なくなる中で、

    お召しになる方の嗜好の感度は高くなり・・」

そんな移り変わりの中で、私共呉服屋の大事なお仕事は

お客様に、納得してお気に召してお作りを頂き、そして永く大事に着て頂ける、

そんなお品をお店にお揃えをして行くことになります。



特別にとても目立つお品というわけではなく・・

でも、着心地がよいし、いろいろな取り合わせが自然と合ってくる、

何年もたってから、「あ、やっぱりこの着物は作っておいて良かったな・・」



着物を箪笥から出した時に、ふとそんな風に思って頂ける

そんなお品がきっと良いお品なのだと思います。



お召しになる方が一枚一枚の着物や帯に愛着がある様に、

呉服屋も一つ一つのお品に愛着を持って、お店にお揃えをしてまいります。



お洒落着として自分らしいお洒落を楽しんでお召しになる、

礼装のお品として特別な日の想いをより深いものとして大事にする、

お着物を通して、そんなお手伝いを出来ればと思っておりますので

本年もどうぞよろしくお願いをいたします。




着物ならではのお洒落や季節感をたのしみに

渋谷のお店へも、お茶でも飲みにお遊びがてら是非お出かけ下さいませ。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




玉川屋では、新春吉例の「半額ご奉仕市」を

今週の木曜日20日より、28日の土曜日まで渋谷のお店で開いております。

 (期間中は日曜日もお店は開いています)



昭和28年に祖父の頃に始め、今年で54回目を迎えますこのご奉仕市は、今回も



  ● 「お求め頂きましたお品の半額分を、お好みのお品で差し上げます」



という、当時と変わらぬ同じスタイルで開いております。




   お品の組み合わせは何でもかまいませんので、

    お好みの玉川屋のお品をお選び頂けます。



たとえば、12万円の小紋をお求めならば

その半額分の6万円分は、玉川屋のお店の中のお好きなお品を差し上げます。

 (6万円以上のお品をお好みならば、その差額分だけを頂戴します)



何点かお求めの場合も、それぞれ組み合わせて一番お得になるようにいたします。

 (12万円の小紋と3万円の襦袢をお求めならば、

  合計の15万円の半額分の7万5千円分は、お好きなお品を差し上げます$・・ 、といった具合に)



訪問着と袋帯を一緒に・・  振袖を一式・・

着物に合わせて雰囲気の違う帯を二点・・

着物や羽織、雨コートなど一式揃えて・・

そんな、お買い物にはとてもお値打ちのある玉川屋のご奉仕市です。



これからの季節のお出かけに、お役に立つようなお品を

 そして何十年か先まで大事に思えるようなお品を、見つけに

ぜひお気軽にお遊びにお出かけ下さいませ。



「半額ご奉仕市」のご案内は、「こちらのページ」にて、ご覧頂けます。



 普段は棚に並べてあるお品も全部出して

 お店いっぱいに昔ながらの紅白の幕を張って・・・



  賑やかに、ちょっといつもと雰囲気の違う玉川屋になっています。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




この売り出しを始めた頃は、お人様へのお礼やお遣い物に

白生地を使われることが多かったので

このご奉仕市の折には

ご自分のお着物のお買いあげの半額分のサービス分で

白生地をお求め下さるお客様が多かったと聞いています。



日常の生活の中に着物が自然とある時代でしたので

白生地なら、如何様にも使い道があったはずですので

贈り物として白生地を選ぶ方が多かったのです。



日常着としての着物から、ファッションとしての着物へ・・

永く続けていると一つの売り出しからも

そんな移り変わりを感じることが出来て面白いものです。




ご奉仕市の初日は、「大寒」の始まり、まだまだ寒い日が続きます。

東京は雪は降らないながらも、冷たい風が吹きそうです。



寒さも厳しき折ですので、

皆さま十分にご自愛下さいませ。




[ ページのトップへ ]

.
.
.
.
.
.

[ ページの最初に戻る ]

「今までの分の目次」へ戻る

[Home Page へ戻る]