トピックス、着物つれづれなるままに


お着物や和のものについてのトピックスや、思いつくままに色々書いています。
ご感想やご意見なもぜひお寄せください。
なるべく頻繁に更新するように頑張ります。
おいでになったら再読み込みして下さい。

平成17年の9〜12月の分です。

12月2日

半衿の染色体験


いよいよ12月を迎え、今年もあと残り一ヶ月となりました。

この一週間ほどは急に肌寒さも増してまいりました。



皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。

いつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。



10月に新宿・落合の「江戸更紗」「江戸小紋」「東京手描き友禅」「湯のし」の

染め工房さんにご協力を頂き、「工房見学&スタンプラリー」を開きました。



「東京の染めを、沢山のかたによく知って頂きたい」という染め屋さん達の想いと、

「お品のことをよく知って頂いて、お着物を永く大事に楽しんで頂きたい」という私共の想いとから

大勢の方にご参加を頂き、それぞれの染めの技法を見学して頂きました。




「染めの工程を見るのもとても参考になったけれど、見ているうちに自分でも染めてみたくなって・・」

そんな感想を頂く方も多くありました。

工房見学の後には、それぞれの工房の個展を週替わりで渋谷のお店で開いたのですが

最後の週に開いた「東京手描き友禅展」の中で「半衿の染色体験教室」を開きました。





着物や帯を染めてみたい! そんなお声もありましたが

まずはワンポイントのアクセントを楽しんで頂ける半衿から・・というわけで

染め屋さんに渋谷のお店に来てもらい、1日教室を開きました。



工房を見学頂いた方は分かるのですが、小紋の染めは

「板場」と呼ばれる反物一反分を長く張れる板や、

12メートル以上の反物を宙にピンと張って地を染める「引き場」など

広いスペースが必要となってまいりますが

友禅染めは、"伸子張り"という両側に針をつけた竹の棒で染める部分だけを張って

小さなスペースで染めを行うことが出来ます。



今回は、玉川屋にとっても初めての企画でしたので

お店の奥の数ペースを使って小人数の体験教室を開きました。





あらかじめ、染め屋さんが "宝尽くし" "江戸玩具" "梅" "桜" "草花文様" など

6つほどの柄の、糸目と呼ばれる柄の縁の線を置いた半衿の生地を用意してきてくれていますので

まずは、ご自分の好きな柄をお選び頂きます。





どっちにしようか迷ってみたり、染め上がって合わせる着物を考えてみたり、と

ここから皆さんの雰囲気も結構盛り上がってまいります。



柄が決まると次は、「色は薄い色から初めて、濃い色目を重ねてゆく」、

「小皿で筆先を良く絞って染料を沢山つけすぎず、面でつけるのではなく、筆の先でさすように色を置いてゆく」

といった筆の使い方やボカシの入れ方、色の濃淡の染めの順番、といった染めの技法の説明から、

好みや手持ちのお着物に合わせた色の組み合わせ方など、の説明を受けて

どんな雰囲気で染めたいかお一人ずつ染め屋さんと相談します。





基本の色はこんな色系、効き色にこの色を・・

そんな話をしながら、染料を混ぜ合わせて一色ずつ小皿に調合してもらいます。

色を作ると端布に色を挿して、すこし乾かせてから色を見ます。

塗り立ての湿っている時は色が濃く映るのですが、乾いてくると色合いが少し落ち着いてまいります。



他の人の色の組み合わせを見て、「その色目もいいわね・・」なんてお話もしDながら

自分の使いたい色目の数色を揃えて、染めの工程にかかります。





いざ、染めの工程にはいると

さっきまでは楽しそうににぎやかにお話をされていた皆様も

急に口数も少なく、真剣な表情で生地に向かっています。



生地にチョンと筆先をつけてやると、少し滲みながら色が広がります、

その加減を見ながら繰り返し色を挿して、花や葉など柄を埋めてまいります。



友禅で色を染めることを、「塗る」ではなく「挿す」と呼び、「色挿し」なんて呼び方もしますが、

実際に自分で体験をしてみるとそんなこともよく分かります。



   



半衿はお召しになった時に、

ちょうど衿の両側に柄が出るように2カ所に柄が置いてあります。



まずは片側を染めてみて、

その雰囲気を見ながら使う色を少し変えてみたり、

同じ調子で染めてみたりと染めさんと相談をしながら

後半にむけての構想を練ります。



構図を考えたり、下絵を描いたり、色の組み合わせを考えたり

染めている途中でも配色のバランスやポイントの置き方など、

色々なことを考えながら染めてまいります。





工房の見学をして頂くと、色を挿す工程の作業に一番目が向きますが

じっさいは、そんな作業に入る前の部分や、手を動かす以外の頭の中で染め上がりのイメージを作ったり

といったことが、その染め屋さんならではの大事な部分であります。



半衿の教室の時でも、思ったよりお時間がかかるのが

染める工程より、その前に自分なりの染め上がりのイメージを頭に思って

色を作るまでの部分です。



きっといきなり、「ハイ、思い浮かべて」なんて言われても良いイメージが出ないのでしょうが

お着物の好きな皆さんだと、

「今度のお出かけには、どんな感じで着てゆこうか・・」

「この着物に合わせるなら次はどんなコーディネートを・・」といった事を

普段から思い浮かべながらお出かけを楽しんだり、お店でお品をご覧になったり、していることと思います。



ご自分の箪笥の中、街中の着物姿の方、雑誌やテレビ、呉服屋さんに並ぶ品、

色々なものを眺めながら、自分の中にイメージを蓄積していって・・

そんな引き出しを沢山作っておいてこそ

いざ「着物をお召しになる」、いざ「お買い物」、いざ「半衿」を染めよう、そんな時に

自分のお好みがさっと決まるのだと思います。




3時間ほどかけて皆さんの半衿が染め上がってまいりましたが

最後の方になると、二本の筆を持って使い分けながらボカシをきれいに入れて・・と

本職の職人さんのような雰囲気の皆さんでした。





染め上がると、お互いに見せ合ったり

どんな着物に良く映えるか玉川屋のお店のお品に合わせてみたりと

染める楽しみが終わると、今度はお召しになる楽しみにむけてのお話で盛り上がります。



    



写真は染め上がりたての半衿で、この後染め屋さんに預けて

蒸気を当てて色を定着させる「蒸し」、余分な染料や糊を洗い流す「水元」といった工程をしてもらい

2週間ほどして、色も品良く落ちつき、お手元に届きます。



作られて売られているものではなく、自分の気に入るように染めるものだから

自分が納得のゆくまで手をかけて・・ そんな楽しみがご参加の皆さんにも

感じて頂けたのではないかと思います。



染めるのも楽しみ、出来るまでもちょっとワクワクして楽しみ、

そして、それを着物や帯に合わせてまたお召しになるのが一番の楽しみ、

普段なら消耗品と思いがちな、一枚の半衿ですが

ご自分の気持ちや想いがこもると、それが着物姿の何よりのポイントになったりもします。




いつも通りのお店の仕事をしながら、

店の奥に台を出して染色教室を開きましたので

お店においでになったお客様も、様子をご覧になったり、

「今度は自分もしてみたい」と次回のリクエストを頂いたりと周りも楽しみながらの教室でした。



今度は、来年の2月頃にまた体験教室を開けたら・・と思っております。

そんな折には、皆様是非お気軽にご参加になって下さいませ。




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玉川屋では12月いっぱい、年末恒例の「福の市」を開いております。

玉川屋のお店のお品を、2割引にて年内いっぱいのご奉仕です。



さらに、「黄色」の札をつけたお品は3割引、「緑」の札をつけたお品は半額と、

特別のご奉仕品もご用意しました。

雑誌に掲載品お品も、特価にて頒布しておりますので、是非お気軽にお遊びにおいで下さいませ。

 (帯のお仕立ては、26日にお承りの分まで、年内にお間に合わせ致します)




ちょっと冷たいくらいの空気の季節が、

羽織をはおったりとお着物でのお出かけにも楽しい季節です。

クリスマスや忘年会など、お出かけの機会も多い時期です

是非お気軽にお着物楽しんで下さいませ!

  (クリスマスの染帯なんていうのも、お店にご用意しております)




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11月28日

つれづれ日記 「現代のライフスタイルと着物って・・」


肌寒いくらいの寒さ、でもこれくらいの陽気がお着物には一番楽しかったりします、

お洒落な羽織姿も、楽しい季節となりました。



皆様、いつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。

陽気の変わり目、お変わりなくお過ごしでしょうか。




しばらく前の話になりますが、10月に東京モーターショーへ行ってきました。

これから発売のニューモデルや、新技術を取り入れたコンセプトカーなど

大人はあれもこれも見たいのですが、娘達が見たがっていたのは

フローリングの低い床に、ワンちゃん用のカーゴがコンソールやシートに内蔵された

ホンダのWOWという車でした。

 (うちではワンちゃんを飼っていないのですが、そんな生活にあこがれているみたいで・・)



見ていると住宅や日常雑貨にもそんなペットと一緒の生活スタイル、

といったものが随分と取り入れられてきています。



住まいをそれに合わせるような大がかりなことから、

普段の生活にテイストを取り入れたり、と

ペットに限らず、自分の中になにかこだわりやスタイルを持つ事、が

増えてきているような気がします。



街中のお店を見ても、

「こだわりのある良質なもの」か「手頃で低価格なもの」の

2パターンに、二極分化してきているようです。



どちらか一方が良いとか悪いではなく、

それぞれの人が「自分なりの基準」を持って選択をしていらっしゃるようです。




どれもこれも贅沢をするのではなく

「あっち」については無駄を省いて、その分自分の好きな「こっち」には

納得ゆくものを選ぶ・・・  そんな感じでしょうか。



「こっち」の部分は、人によって

「旅行」であったり「グルメ」であったり、「車」であったり

もちろん「お着物」であったりもします。




その、自分の好きなものに対してはこだわりを持って

色々な情報を集めて、しっかりと選んでゆく・・のですが

着物のこととなると、なかなか十分な情報を得にくかったりもします。



人によって着こなし方も違い、出る場も違い、TPOも違ってきます。



着ているうちに、自然と情報が身に付いてくるのがお着物で

以前なら、お母様やお婆さま、近所のおばさん・・など身近な人が

普段からその人にあったアドバイスをくれていたのですが

そんなつながりが、現代では少なくなってしまっているようです。



情報自体は、雑誌も本もネットも沢山あるのですが

自分にとって必要な情報をその中から上手に選別してゆくのが

また難しかったりします。




着方やコーディネートに関しては私ども呉服屋が

そんな役目をお承りする事も多くなります。

着物や帯のお品については、私たちもお店で説明をする事も多いですが

百聞は一見にしかずで、実際にご覧頂くのが一番理解も深まることと思い

染めやさん達に協力を頂いて、秋の初めには工房見学会を開いたりも致しました。



頭の中の知識としてではなく、

ご自分の目で見て、手で触れてさわってみて・・

そんなことを繰り返しているうちに、自然と自分なりの基準やこだわりが

備わってくるのだと思います。



そんなお手伝いが呉服屋の仕事、と思っておりますので

何でもお気軽にお声がけ下さい。




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10月5日

つれづれ日記 「和装の婚礼、昭和の初期から平成へ」


10月のはじめは”薄い着物がいいかな”と思えるくらいの日もありましたが

陽気もすっかりと秋らしい涼しさが出てまいりました。

袷の着物をはおったときの、しっとりとした着心地が楽しみな季節となりました。

皆さんいつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。




最近、和装の婚礼衣装がまた増えてきているそうです。



婚礼の衣装というとウェディングが主流・・という形が続いておりましたが

白無垢、色打ち掛け、振り袖といった和装のお衣装をお召しになる方が

増えてきているそうなんです。



私どものお客様でも、料亭さんで和装の婚礼をあげたり、

当日は教会でウェディングドレスで式を挙げるのだけれど

どうしても和装もしたくて、前撮りのお写真だけ打掛を着て撮ったり、

といった方もおいででした。




和装Dの婚礼で、とくに希望される方が多いのは

お端折をせずに裾を引きずるような着方をする引き振り袖、

そして色は黒地の引き振り袖とのことです。



黒の地色は、洋服ではシンプルな着こなしになりますが

和装でお召しの場合は、色自体に重みがありながら

その上に乗る他の色を引き立てるとても綺麗な色目となります。



友禅の挿し色、重ねの衿、襲の着物、金地や華やかな色目の袋帯や丸帯、

帯締めや帯揚げの小物, そして白い半襟とお顔映り・・ 



黒の引き振り袖をお選びになるのは、そんな

華やかさと品格を持ってお祝いの日を飾ることが出来るからと思います。




和装の婚礼でも、時代によって変化もあるようです、

以前は和装の婚礼は日本髪を結うことが多かったのですが

最近では髪は洋髪や新日本髪など、

純日本髪に比べると軽い感じのヘアスタイルで

和装の婚礼をされる方が増えています。



私の婚礼の時も、家内は白無垢を着ての神前で婚礼をあげました、

その後、私の母が嫁入りに着てまいりました鶴の刺繍の入った打掛を着て披露宴を行い

洋装もしたいとの家内の希望もあり、ドレスに色直しを途中で致しました。



それぞれに自分たちなりの思いの入った装いをすることが出来たのですが

一番問題になったのは、色直しをする時の髪の問題でした。



和装から洋装への衣装はそれほど時間がかからないながら

髪を直すのにずいぶん時間がかかってしまい、

席を離れてしまう時間が長くなってしまうことでした。




白無垢で綿帽子をつけて挙式をあげると、

お披露でお客様をお迎えする時には綿帽子をはずして簪(かんざし)をつけて

といった形になりますので、自然と髪型も日本髪になります。



また、和装から洋装、洋装から和装、どちらにしても

色直しをする場合には、髪を直す時間が多くなってまいります。



振り袖姿でしたら、洋髪や新日本髪などでもよろしいので

「黒の引き振り袖姿に洋髪での装い」をお選びになる方が多いのも

そういった想いもあるのかなと思います。




以前は決まった形が多かった婚礼のスタイルも

今はご結婚されるお二人のライフスタイルに合わせて

「自分らしく・・」「想いを持って・・」

色々な形を考えられるようです。



そんなときに、「和」の装いで婚礼をあげる方が増えてきているのは

その一日だけのことではなく、生活の中に自然と和の想いが

浸透してきていると言うことかなと思います。




出席する方も、最近はシンプルなお洋服姿の方も多いですが

礼装の振袖や訪問着、留袖などのお着物姿はやはり素敵なものですし、

式自体に華やかさや格を添えることにもなります。



「お着物を着て出席すると、両方のお家から ”ありがとう” って言ってもらえたの」

そんなお話をお伺いも致します。




紬や小D紋の気軽なおしゃれ着も楽しいながら、

華やかさのある礼装のお着物も、また楽しいものです。



それぞれのお着物に、それぞれの楽しみ・・

秋も本番となってまいりましたのでお召しの機会も増えておいでのことと思います、

ぜひ色々なシーンでお着物を気軽にお召しになって下さいませ。




古いアルバムを整理しておりましたら

昭和30年頃のお嫁入りの写真が出てまいりました。

今は玉川屋はビルになっていますが、その前の、さらにもう一つ前の建物の頃、

自宅で花嫁の支度をして、先方のおうちに嫁ぐ・・ そんな風景です。




自宅のにお嫁入りの衣装を揃えて

髪結いさんに日本髪を結ってもらい

お支度が出来上がると

家族やご近所の方に見送られて

嫁ぎ先のお家へと向かいます

それから挙式をあげて、披露宴となります。

ところは明治記念館になります、数年前にきれいに立て直されましたが
当時の建物も一部まだ残されております。

打掛から、黒の裾模様に色直しとなります。




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先週末の新宿・落合での「工房見学&スタンプラリー」も

お陰様で沢山のご参加を頂きました。



「あんな風に染めているんですね」「一度見てみたかったんです」

  「こんな所できものが作られているなんて、びっくり」

色々なご感想を、染めやさんを回られた皆さんから頂戴しました。



東京の染めを知って頂き、愛着を持って頂ければ嬉しいことです。




染める工程も見てみたいし、やっぱり染め上がった着物や帯もゆっくり見てみたい・・

そんなお声も頂きますので、今週よりは週替わりで

落合の染めの工房さん達のお品をセレクトして玉川屋でお目にかけさせて頂きます。



6日(木)より12日(水)は「江戸更紗展」、

13日(木)より19日(水)は「江戸小紋展」、

27日(水)より29日(土)は「東京友禅展」、と

      (期間中の日曜日、祭日はお休みとなります)

週替わりで、東京を代表する趣のある染めを

D

いつもの玉川屋のお品にコーディネートしてお目にかけます。




29日(土)は、東京友禅の染めやさんにおいで頂き

半襟の「染色体験教室」も開きます。

数パターンの柄の中からお好みの柄を選び

お好みに合わせ模様師さんに色を調合してもらって

ご自分でお好みの雰囲気で友禅をさしてみて下さい。

 (午後1時からの体験で約3時間ほど、参加費は6千円の教室になります)

 

「染めの街 "落合"展」 「染色体験教室」のごあんないは <こちらをクリックして> ご覧下さい。

 少人数での体験ですので、ご希望の方はお早めに

 メールまたはお電話でお気軽にお申し込み下さい。

   メールの方は <こちらをクリック> して下さい。




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お出かけの楽しい秋の良い季節、

ぜひお気軽にお着物お召し下さいませ。




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