トピックス、着物つれづれなるままに


お着物や和のものについてのトピックスや、思いつくままに色々書いています。
ご感想やご意見なもぜひお寄せください。
なるべく頻繁に更新するように頑張ります。
おいでになったら再読み込みして下さい。

平成14年の9〜12月の分です。


12月28日

つれづれ日記  「新宿・落合の染め工房のご紹介」


夏から、秋がなく急に冬になってしまったような今年でした。

寒さも厳しくなってまいりましたが

皆様お変わりありませんでしょうか。



おかげさまでこの秋も忙しくさせていただいており、

ホームページの更新も全然進みませんで、申し訳ありませんでした。

この秋はいつものお店の仕事以外にも、

新宿落合の染め屋さんたちとの工房見学やスタンプラリー、

ホームページを通じてご意見を頂いての染帯の誂え、

なども企画してみましたました。



染帯の誂えは、実際のページでのご意見以外にも

お店にご来店になったり、メールをお送り下さったりで

いろいろなお問い合わせやご意見を頂き私も随分と参考になりました。



着物を着るなら、自分なりのこだわりを持って!

そんな想いの方も多いようで、染帯の誂えはもちろんのこと

小紋や付下げ、羽織を誂えたり、お好みの色合いでの無地のお染め、

振り袖に染められている柄をモチーフに付下げに染め直したり

磁器のお皿の絵柄を使い、刺繍の羽織を作ったり

絽の小紋柄を選び、お好みの色の紗の無地をかさねて来年の無双の着物を誂えたりと

私どもも一緒に楽しませていただきながら

お品創りをさせていただきました。



一点ずつお作りする染めのお品だけではなく

織りの紬の着物の誂えなどもお問い合わせいただき

こちらもいま機屋さんと相談中です。



誂えのお品は、"ご自分のお好みのお品が出来る"と言うことはもちろん

"品創りに自分も参加する"というのも、大きな楽しみです。

実際の染めの工程に自分で手を加えるわけではありませんが

下絵を見ながら相談したり、色見本で色を選んだり

時には染め屋さんにご一緒して細かい点を相談したり・・と

より思いの深いお品となってゆく、そんな楽しみもあることと思います。



またいろいろな誂えのお品も機会を見ながらご紹介できればと

思っております。




もう一つ、10月の18日19日にいたしました

「落合ほたる  工房見学&スタンプラリー」のご報告も

大変遅くなりましたが年内すべりこみでさせていただきます。



まずは「落合ほたる」ってなに? とういうところから・・

その昔、神田川と妙正寺川が落ち合う所から名付けられた「落合」は

きれいな水を求めて蛍がたくさん集まる江戸時代の観光スポットでした。

 (江戸の人々が蛍狩りを楽しむ様子が新宿博物館蔵の浮世絵にも描かれています)

明治・大正にかけては、その水を求めて多くの染色工房が集まって

いまでも新宿落合は着物の産地として染め屋さんが集まっています。



そんな染め屋さんの中でも私と同年代の、仕事と言うよりは仲間として集まった

染め屋さんたちと「染めの街 落合」をもっと多くの人に知ってもらいたい、と

工房見学とスタンプラリーの話が持ち上がってきました。

清流に綺麗な光をともし、多くの人の注目を集めた江戸時代の蛍にちなんで

「落合ほたる」と名付けました。



打ち合わせ風景です



スタンプラリーは、10月の18日(金)、19日(土)の二日間

「江戸更紗 二葉苑」 「江戸小紋 末綱染工所」

「東京手描友禅 協美」 「湯のし 吉澤湯のし加工所」の4カ所をまわり

各工房で工房や作業の工程の見学をしたり説明を聞いてスタンプをもらい

四つ集めた方には染め屋さんたちからのオリジナル小物のプレゼントを差し上げました。

二日間で総勢400名ほどのご参加を頂き、あらためて皆さんの着物への想いを感じました。



工房に人が入ることはどうしても集中してする仕事にとっては邪魔になることもあるはずなのですが

この二日間は完全に見学会モードで工房の体制をとってくれていましたので

ご参加の方もきっと貴重な機会となったことと思います。



江戸更紗の工房「二葉苑」さんの工房です。

たくさんの枚数の方を使う更紗の染めを中心に、紬地や大島地に更紗を染めたりと、

伝統を受け継ぎながらも新しい感覚を取り入れての品創りの様子を見せてもらいました。

 写真左)は紬地に江戸更紗の染帯

 写真右)張ってある生地は、型を付けた後に刷毛で色を引き染めして乾かしている反物です

      皆さんが見ている左の台には、染め見本の生地が貼られ

      工程ごとに品が染め上がっている様子が分かるようになっています。



江戸小紋の末綱染工所さんです。

写真左上)
まずは、江戸小紋のいわれや、型紙、染めの技法、等のいろいろな知識を伺って

写真右上)
型置き、しごき染め、蒸し、と言った各工程の見学をしました。 写真は地色をしごき染めした生地を蒸気のでる箱の中に入れ色を定着させる「蒸し」の工程です。

写真左下)
染め上がって蒸しをかけたのち、水の中で洗って糊や染料を流してから、乾かしている反物です。 工程を見学したり、説明を聞いてから見る染め上がりの生地は皆さんそれまでとは少し違って見えたようです。






東京手描き友禅の協美さんです。

丁寧な手描きの友禅で訪問着、付下げ、染帯と言ったお品から

凝った羽裏などまで、誂えのお品を東京らしい精緻な糸目と品のある色合いで

染めてくれます。

「こんなお品が着てみたい!」そんな方は是非お声をかけて下さい。



「湯のし」の吉澤湯のし加工所さんです。

湯のしというのは着物を染める工程では何回となく通る加工で

仕立てる前にも湯のしをすることもありますが

実際の現場をご覧になったことはほとんどの方がない事と思います。

写真のように、一番奥で何反もの反物をつなぎ

それを手前にある蒸気のでるドラムに通して生地の目と幅を通してゆきます。

写真のような機械湯のしが中心ですが、絞りのように生地によっては手湯のしをかけてゆきます。



いろいろな着物が次から次へと流れてゆくので

みなさん飽きずにずっと眺めている方も多かったようです。



10月のお着物もお召しになりやすい季節でしたので

お召しになってお出かけの方も多く最寄りの中井駅から下落合駅の間にかけては

一日中、スタンプラリーのマップを手にした方たちが行ったり来たりでした。



当日は、4件の工房を回って見学すると一日たってしまいますので

染め上がりのお品を見たいと言う方もおいででしたのですが

ごゆっくりお目にかけられないため、

次の週には渋谷の玉川屋のお店にお品をお揃えしてあらためてご覧を頂きました。



工房の見学をして、皆さんお品への思い入れも強くなり

また、お品や染めについての知識も色々勉強できたので

染め上がりの着物や帯を見てもいつもよりも、もう一つ見方が深くなっているようで

渋谷のお店へ日替わりで説明に来て下さった染め屋さん方ともお話が盛り上がっているようでした。



上の写真は、江戸小紋の型を置き、そこに手描きの友禅で模様を描いた

紅葉の柄の半衿です。

いまはまだ糊をおいただけの状態ですのが、これを淡いローズ色に染め

白い江戸小紋の粒で柄を出して、そこに友禅の紅葉が品よく襟元を飾ります。

この半衿は、翌週に玉川屋へおいでに下さった方のために

染め屋さんたちの合作、コラボレーションのお品です。

こちらも当初用意した分の2倍のご来場があり、嬉しい悲鳴を上げながら

あわてて染め屋さん方が追加で染めてくれました。



「行きたかったけれど、今回は都合が合わず残念・・」会の後に、

そんな風に言って下さる方も多く嬉しく思っております。

来年は、春の四月にもう一度「落合ほたる」の「工房見学&スタンプラリー」を企画しております。



今回ご参加の方は、より深く、より愛着を持って

新しくご参加の方は、東京の染めをより身近に感じて、

また大勢の方にご参加を頂ければ嬉しい限りです。



次回は「夏」をテーマにしたお品も創作中です。

伝統を受け継ぎながら、新しい完成を加えた品作り・・・

そんな、これからの世代の染め屋さんや呉服屋の想いを

楽しんで下さい!



つれづれなるままに、も今回が今年最後の更新となることと思います。

来年は、頑張って更新を続けてゆきますので

これからもどうぞよろしくお願いいたします。



寒さも厳しい折ですので、皆さんお体にもお気を付けになって

良い年をお迎え下さいませ。

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12月5日

つれづれ日記 「思いのこもったお着物を大切に・・」


夏の終わりのお祭りのお話を書いてから、すっかりご無沙汰してしまいました。

季節も秋を通り過ぎて、初冬へと移ってきました。

今日は時期は過ぎてしまいましたが、先月の七五三のお話から。



10月の末頃からは街中には

七五三の着物姿の方があちこちで見かけられるようになりました。



以前は11月15日頃が七五三のお祝いは多かったのですが

今は親御さんのお仕事や、お子さんの学校や幼稚園の行事など

皆さんのご都合に合わせて10月の末頃から11月中にかけて

なさることが多いようです。



私の所も、娘二人で一昨年は数えの3歳と7歳で

昨年は満の年で二年続けて着物を着させておりました。

 (ひいお婆さんまでおりますもので、

  お祝い事はみんな元気なうちに何でも早めに、

  そして次の年にも無事に皆が健康でいられたらまたお祝いしよう! そんなポリシーなんです)



娘達は、街中でお祝い着の子を見かけると

「今年も着る!」なんて言っておりましたので

12月やお正月はウールのお対など着させてお出かけしようかなと思っております。




今年もお客様からお祝い着のご用を頂き

新しくお作りするお品も沢山ございましたが、

お孫さんの7歳のお祝いでお召しになった

疋田の絞り(無地の疋田絞りだけのお着物でした)に

ひいお婆さまが一年がかりでご自分で刺繍を入れて

曾孫さんのお祝い着にお作りし直したお品もございました。




元のお着物は私の祖母がお売りしたお品でしたが

生地も絞りの目もしっかりして、大柄な蝶々をさした刺繍が

とても映えて立派なお祝い着となりました。

お品もさることながら、そのお気持ちの部分が嬉しいところで

そのお嬢さんが大人になっても、7歳のお祝いのお写真を見るたびに

「このお着物は、お母さんが着たお祝い着に、曾お婆さんが刺繍をしてくれて・・」と、

きっと必ずお話が出てくることと思います。



よく、新しいお品をお作り頂くときに

「お着物は何十年でもお役に立ちますよ・・」 なんてお話をいたします。

その時には、そんな先の事なんて・・となりますが

いざそうして時を経てきて、

また新しく気持のこもったお品となって甦ったお品を見ていると

呉服屋でありながらあらためてそんな想いを実感いたします。




また、最近は着物の生地や素材も色々なものがありますが

生地や染め、織りなどお着物の基本がしっかりしていれば

こうして本当にお召しになる方にお役に立つのだなと思ったりします。



そんなことをお店においでくださったお客さまにお話したり

以前にメールに書いたりもしたのですが

先日お母さまとお嬢様でお出かけくださったお客さまも

同じように大事にお着物をお召しくださっていました。






お嬢様がお召しになっているお着物は以前にお婆ちゃま(お母さまのお母さま)

が着ていらした小紋のお着物だったそうです。




それをお孫さんに当たるお嬢さんが、七歳のお祝着としてお召しになって

さらにまた解いて染め変えて、二十歳を過ぎてからお羽織にしてお召しになっています。

いろいろになおしてお召しなので、

羽織をよく見てみると目立たないように上手に継いであって

素敵なお羽織に仕上がっています。




お召しの時によく拝見してみると、生地もまだまだしっかり光沢がきれいにあって

絞りの無地場もきれいに色合いが良く出ています。

お背の高いスラットしたお嬢さんですので、綺麗な色の長めの丈の羽織が

お洒落によく似合っています。




お持ちのお品が何度も蘇りながらお召しいただくと、

呉服屋としては新しくお誂えいただくご用がなくなってしまうのですが・・・

なんて冗談をお客様にしながら、きちっとした生地としっかりした染めや織り、

そんなお品をお勧めするのが、呉服屋のお仕事でもありますし

「お作りになるのなら、しっかりと選んで数は少なくても永く大事にできるそんなお品を..」と

お話しています。




このお写真は、新宿は下落合の江戸更紗の染め工房「二葉苑」さんへ

工房の見学へお伺いした時の写真です。

玉川屋のクリスマスの染帯を締めてきて下さった方もおいでだったので

御一緒に御紹介させていただきます。





 (「どっちの着物ショー」のページでご紹介しているクリスマスの帯達と

   一緒に染めたお品でしたが、ちょうど染め上がってきた日にお店においでくださって

   パッとご覧になって気に入って下さった帯でした。)




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9月5日

着物で夏祭り

八月のお盆が明けると、渋谷のまわりはお祭りが続きます。

小さい頃は浴衣を着て、毎週あちこちの縁日に出かけていましたが

いまは子供達が同じ事をしています。





このあいだの日曜日には、麻布十番のお祭りへ行って来ました。

毎年八月最後の週末に開かれる麻布十番のお祭りはテキ屋さんの夜店と一緒に、

商店街の色々な商店や美味しいレストランや食べ物やさんの屋台が沢山出て

子供だけでなく大人もとっても楽しいお祭りです。



ちなみに、このあいだのメニューは、

ものすごい暑さにまずは生ビーに焼き肉、

白ワインににチーズフォンデュ、グラスのシャンパンにペンネアラビアータ

マッコルリという韓国のお酒に骨付きカルビと韓国チヂミ・・・などなど

道を挟んだ広場には、ワールドバザールという

各国の大使館が集まる麻布らしく、それぞれの国のお酒や美味しい料理などの屋台も並びます。



毎年、美味しい料理を楽しみに出かけますもので、食べ物の話ばかりですみません・・



今年も家族4人で夏の着物や浴衣で出かけました。





子供二人は浴衣に兵児帯、

(毎年どんどん大きくなるので、揚げを下ろしながら着て、それでも短くなると新しく用意して上げます。)

上の娘は着物の小紋調の浴衣に七五三の時の絹の兵児帯

下の娘はお姉ちゃんからもらった浴衣に、家内の派手になった絞りの帯揚げを兵児帯がわりに

家内は藍の浴衣に夏の博多をお太鼓に締めて、三部紐に秋草を描いた陶器の帯留めをして

私は能登の上布に角帯で、 今年はそんな雰囲気で出かけました。



東京はお盆が明けて一度秋のように涼しくなったのですが、お祭りへ出かけた日は

再び夏の暑さがぶり返した猛暑の日で、さらにはものすごい人出で暑さも倍増の日でした。

一枚で着ていてもよいくらいの日ではありますが、エアコンが利いているところへはいると

寒いくらいに汗が冷えますので、汗取りの肌着を下に着て出かけました。



毎年の事ながら浴衣姿の方も沢山で、今年は夏の着物姿の方も多く見かけました。

玉川屋のホームページの「どっち」のコーナーで浴衣に締めるのは半幅帯か?夏帯のお太鼓か?

なんてご意見を頂きましたが、 「浴衣には半幅帯!」という方は、半幅帯のスッキリさと手軽さ、帯結びのバリエーションに・・

一方「浴衣にはお太鼓!」の方は、浴衣にも夏の着物姿の雰囲気を求めて・・

といったところで、ホームページでは6対4で半幅帯派の方が多く

同じような質問をお店でしてみると「普段は半幅が多いけれど、お太鼓結びも締めてみたい・・」という方を加えると

ちょうど逆の割合で「お太鼓結び」の方が多いお返事でした。



そうして伺っていると、和装の中では一番簡単で気軽な浴衣一つとっても、

それぞれの方なりのこだわりと、想いがあることがよく分かります。

また、浴衣を着てみてそんな風に自分なりの装いが着物の楽しさと見つける方も多いようです。



玉川屋の浴衣は、藍染めや紅梅など昔ながらの浴衣らしい品や、

着物としてもお召しになれるようなお品が多いので

着物に近い感覚でお浴衣をご覧になる方が多く、上のような割合になるのかなとも思います。



今日から9月に入り着物も単衣の時期に・・・

外にはまだ残暑が残りながらも自然と吹く風や気持の中には秋の気配が増してまいりますので

段々にお着物でのお出かかけも楽しい時期となります。

いまからどんな装いをしようか考えるのも楽しいことと思います。



ずっと涼しげなお着物が並んでいた玉川屋の店内も

秋らしい、こっくりとした雰囲気のお品が並ぶようになりました。

秋のお着物への想いもホームページを通じてお伝えしてまいりたいと思いますので

皆様からも、お召しになってのお話や想いなど是非お聞かせ下さいませ。



最後になりますが、9月15日(日)は玉川屋の地元の金王八幡宮の祭礼があります。

渋谷109前に12基の御神輿が集まり、道玄坂にて連合渡御のパレードを行います。

若者の街なんて呼ばれる渋谷ですが、古くからの渋谷の雰囲気・・

そんなことも感じていただければ嬉しい限りです。



いましばらくは暑さもまだ続くようです、皆様お体にもお気を付け下さいませ。



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