トピックス、着物つれづれなるままに


お着物や和のものについてのトピックスや、思いつくままに色々書いています。
ご感想やご意見なもぜひお寄せください。
なるべく頻繁に更新するように頑張ります。
おいでになったら再読み込みして下さい。

2007年1月から4月の分です。




4月7日

花冷えの季節、でも夏の支度を・・


皆様いつも有り難うございます、

玉川屋呉服店の石井貴彦です。



3月も半ばまでは、

気象庁の桜の開花予想が、間違ってずいぶん早めに発表された時にも

「あ、今年はそれくらい早くても、おかしくないくらいの暖かさだな・・」

そんな風に思うほどの、とても暖かな日が続いておりました。



桜が咲いてから、3月の末から4月の始めにかけては

逆に冬よりも肌寒さを感じるような日が増え

東京では今月に入ってからみぞれが降ったりも致しました。



桜の花の咲く頃に、冬がもどってきたように急に寒くなる様子を表して

「花冷え」の言葉がありますが、まさにそんな言葉がぴったりと感じられる

この数日です。



春になってもまだ寒さの残る・・「春寒(はるさむ)」の言葉もありますが

春本番になってからの寒さをさしての「花冷え」とは、また時期が少し異なり

花冷えよりも少し早めの頃の寒さをさしてになります。



同じように、春の寒さを思うにも、微妙に違うニュアンスがあります。



少しずつ、行きつ戻りつ、移り変わる季節・・・その中では

帯締めのひと色にも、その日その日の季節感を楽しめるはずです。





今の玉川屋のお店の中は、この時期のお着物のお支度に加え

今週末のご奉仕市の準備、そして5月の連休明けからの夏物の品揃え・・・と

いろいろなお支度が並行して進んでおります。



今月末の連休中には、今までのお着物と夏物と、

お店の中のお品を入れ替えてまいります。



3月の末から今月半ばにかけて、昨年の夏の終わりから準備を始めてまいりました

今年の夏に向けてのお品がお店に揃ってまいります。

ご紹介してゆきたいお品は色々あるのですが、2月のこのコーナーにもお書きしていた

「お洒落に着られる麻の着物」そんなお品も出来上がってまいりました。



肌当たりも涼しく、湿気もこもりにくい、

そして何より、お家で洗うことの出来る手入れの楽な麻のお着物は

暑い季節の普段のお召し物としては一番心地よいお召し物になります。



ただ、麻の生地は、絹のように色を染めにくいために

麻の着物といえば、紬調の絣の柄か縞柄、色もシックな趣のお品が多くなります。



麻の生地で綺麗な色や柄が楽しめたら、もっとお出かけが楽しくなるのに・・

そんなお声もよくいただいておりましたので、

今年は染め屋さんにも協力頂き、麻の生地の小紋を染めてみました。



(クリックすると大きな画像でご覧頂けます)

糸目の白い線で染めだされた柄は涼感も豊か3詭に、

そしてシンプルな雰囲気で帯の取り合わせもしやすい着物に染め上がりました。



正絹の生地を染めるのとは全く違う染料を使うため

色数も限られることが多かったのですが

一緒に色見本の巻き見本も作ってもらいました。



(クリックすると大きな画像でご覧頂けます)

小紋の染めと一緒に、地に飛び柄でほたる絞りが染まるように

絞りの染め屋さんに頼んで麻の生地に絞りを入れてもらったりもしました。



   (クリックすると大きな画像でご覧頂けます)

麻の生地でも、小紋や絞りもお好きな雰囲気でお作りすることも出来ますし、

お色見本でお好みの色合いでお染めすることも出来ます。



今年の夏は、お洒落で着心地の良い麻のお着物、楽しみにしていて下さいませ。

色々なお品を、またご紹介させて頂いてまいりたいと思います。




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3月14日

白生地から色無地を染める


皆様いつも有り難うございます

玉川屋呉服店の石井貴彦です。



東京の桜の開花は18日と伝えられていましたが

今日、予想プログラムの不具合があったとのことで23日に訂正がありました。

それでも、平均より一週間近く早い開花となります。



桜の花が舞い散るのは以前は入学式の風景でしたが

最近では年々咲くのも早くなり、

卒業式の桜のイメージの方が大きくなってまいりました。



そんな入・卒業式の時期と言うこともあり、

2月、3月には色無地をお作りすることが多くなります。



卒業式や入学式での、お母様方のお召し物とすると、以前は

色無地や小紋、付下げなどに黒の羽織をお召しになって・・

そんな姿が多かったことと思いますが

最近は、色無地や江戸小紋、やさしい雰囲気の付下げなど

あまり目立ちすぎない雰囲気の、すっきりとした調子のお着物姿で

お出になることが多いようです。




ご注文を頂いた時には、



江戸小紋や付下げは、

染め上がりのお品をお目にかけてお選び頂くか

お気に召すお品が見つからない場合は、

お好みの色や柄にて染めさせて頂いており、



色無地の場合は、

お好みの色3詭目にて白生地からお染めしてご用意を致します。

 (もし、お手持ちの白生地がお有りでしたら、

      その生地で染めや仕立てもお承りもしております)




「染め上がりの色無地とどちらが良いですか・・?」

  というお問い合せも良く伺いますが



生地質的には白生地からお選び頂いた方が良い生地をお使い頂けますし、

色合いとしても、限られた中からお選ぶより、お好きな色にてご用意する方が

お召しの時にも、顔映りや帯合わせなど、お召し頂きやすいことと思います。




お作りいただくときには、まず白生地をお選び頂きます。

無地の生地や地紋の入った生地、楊柳の様に縦に畝の入った光悦の生地、紬の白生地、

シボのある縮緬や光沢のある綸子 など、地風や織り上がりも色々な生地があります。



 落ち着いた雰囲気、華やかさ・・・   お召しになった時の雰囲気

お茶席、入卒業式、パーティー、お洒落着・・・・ どんなときにお召しになるのか

 単衣、袷・・・    お仕立ての仕方や季節

  抜き紋、縫い紋、飾り紋・・・   紋の入れ方



どんなときに、どんな雰囲気でお召しになるのか、

お話をしながら、生地や色合いをご一緒にお選びしてまいります。



お茶席ならば、あまり地紋や柄がたちすぎない生地に、

   品の良い落ち着いた色を白い抜紋で染めて・・



ウェディングパーディーなら、光沢のある地紋に華やかな色目、

   少し大きめの飾り紋の刺繍を入れて・・・



お洒落着に仕立てるのなら、ビロードや紬地、変わり生地などに

   背中に家紋ではなくワンポイントの刺繍の柄を入れて

     それに合わせて、八掛にもワンポイントの柄を染めてみたり・・・



同じ色無地でも、その方のご要望に合わせて、選び方も色々楽しむことが出来ます。

もちろん、お召しになる時には、帯や小物合わせの楽しみがまたあります。





お色目の選択も、色見本調ですと

どうしても小さな生地見本を見ながらになり

実際に染め上がるとどうなるかイメージが涌きにくいことと思いますので

一反の反物を何色にも染め分けて、体にも当てられる大きな色見本を使ったり



お店にある沢山の着物の中から

お好みの色合いの反物を実際にお顔に当ててみて、気に入った色を選び

その生地を色見本として染め屋さんに出すようにしております。



八掛も、表地が濃ければ無地の八掛を付けられますが

淡い地色に着物を染める時には、ぼかしの八掛を付けます。



ぼかしの八掛は、表地と染めの工程が異なりますので

同じ色見本をそれぞれの職人さんに渡して、それぞれに染めてもらうと

微妙に色が異なることもありますもので

まず表地を染めてから、そして

その染め上がった表地を色見本として八掛を染めるようになります。




まず色々お話をしながら、生地を選んで、色を決めて、

  そして、染めて、紋を入れて、お仕立てをして・・・



そうこうしているとお時間も頂くことにはなりますが

自分の好みに合わせて誂えたお着物、

染め上がりや仕立て上がりを待つ間もワクワクする楽しみがあるでしょうし

きっとその分、永く大事にお召し頂ける一枚をご用意することが出来るはずです。





生地がしっかりしていれば、後々になってお染め替えをすることも出来ます。

薄色でしたら上から色をかけることも出来ますし、

染め上がっている色を一度抜いて白生地に戻し、全然別系統の色にて染め直すことも出来ます。



最後は、濃い色や黒に染めて不祝儀の着物にしたり

コートにお仕立て直したり・・・ といったことも出来ます。



生地さえしっかりしていれば、2回染め替えやお直しを3詭して、3枚分の着物としてお使い頂くこともあります。



お洋服でもそうでしょうが

良い生地のお品は、色合いも深く、目にも綺麗に映ってまいります。



生地の質によってもお値段も変わってはまいりますが

深い色合いの綺麗なお品を、永く大事にお召しになる・・・

そんな思いで、まずは白生地をお選びになる所から始めてみて下さいませ。



(もしかしたら、何十年後かもしれませんが・・)

「やっぱり、この生地で染めて良かった」  そんな時がきっとあるはずです。




新しいお品のお誂えから、お手持ちの生地の染め、

 仕立上がりのお品の染め替えなどなど、 どうぞ何でもお気軽にご相談下さいませ。




春の暖かさが増してきて、

いよいよお出かけにも楽しい季節となりました。



上に羽織るコートや羽織も、

すっきりした薄い淡目のお色合いの品が着たくなりますし

紋紗やレースの透けた生地の羽織りものも、心地よい時期でもあります。



帯や小物の取り合わせをコートなどで隠さなくてすむこれからの時期は

ひと色添える帯締めまで、

ご自分なりのコーディネートがいっそう楽しみです。



是非、お気軽にお着物お楽しみ下さい。

そして、春の趣きいっぱいの玉川屋へも

お茶でも飲みにお遊びにお出かけ下さいませ。




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2月17日

一足早く、薄物のお話を・・


皆様いつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。



「立春を過ぎて暦の上では春とはいえ、まだまだ寒さ厳しく・・・」



そんな書き出しで始めることの多い2月でしたが

今年の東京のお天気はとても穏やかで、お出かけにも心地よい日が続いております。




今月の初めには、京都や東京で夏の着物の染め出しに行ってまいりました。

織りの着物などは、昨年の夏のシーズンの最中から次の年の準備を始めるのですが

染めのお品はこの時期に手配をすることが多くなります。



京都へ入った2月1日は、これまた穏やかな暖かい日で、

数年前の同じ日には、途中から大雪が降って

新幹線のダイヤも乱れ予定通りに帰京できないこともありましたが

今年は昼間は厚手のコートなどいらないくらいの陽気でありました。



二日間かけて二十軒ほどの染屋さんや機屋さんをまわるのですが

それほど広くない京都の町ですのでほとんど歩いての移動となり

気が付くと二日間歩きっぱなしの毎年の京都行きです。



去年、夏のお着物をご覧になったお客様からの

色々なご意見やリクエストをあらためて見直して、

お作り頂いたお品の色や柄行などを思い出しながら、

今年の夏にむけてのお品を注文してまいります。





昨日までは、袷の着物や冬のコートなどを渋谷のお店でお勧めしながら

今日は、盛夏の着物や帯を見て回る・・・ 何より自分の中での季節の感覚を切り替

えるのが大切になります。




夏のお召し物は、普段から着る機会がおおく、涼しげで着やすい

粋紗(夏の織りの着物)や麻の着物などをお作り頂くことが多く、

帯も、それに合わせての染帯や八寸帯のご注文を多く頂いておりました。



普段からお着物3詭をお召しになる機会が多くなると

あらたまった機会にも着物を着たい・・・

   織りの着物も良いけれど、綺麗な色の染めの着物も楽しみたい・・・

そんなお声も多くなり、

絽の小紋や江戸小紋、とび柄小紋に、絽綴や夏の名古屋帯

といった取り合わせをご覧下さるようになります。



普段着から、だんだんに格上のお召し物へ・・・

冬の着物でも、夏の着物でもそれはご一緒で

絽の訪問着や付下げ、 夏の袋帯や綴帯 をご用意される方も

自然と増えてまいりました。




蛍や団扇、鷺草、金魚・・・ 夏の帯などは、季節感や遊び心でいっぱいのお品も多いです。

夏のお洒落着ならではの楽しみもありますし、

暑い季節に色や柄を極力おさえながらも品格を映し出す・・

そんな夏の礼装も、お召しの時のお気持ちはまた格別と思います。



夏の小紋や粋紗、涼しげな麻の着物、季節感の楽しい帯・・・

こだわりのあるお洒落着から、伝統産地の着物や帯、品格のある訪問着や袋帯・・

幅広い夏のお品揃えを心がける玉川屋ではありますが



いつもの夏に加えて「夏のフォーマル」 「きれいな色合いの麻の着物」

その二つを今年の夏のキーワードにしてみました。




今日は、一足も二足も早い夏の衣のお話でしたが

今年の薄物は、五月の連休が明けるころからお店の中に並び始めます。

冬から春、そして初夏へと移り変わる季節やお着物を、

ぜひご一緒に楽しみましょう!




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1月12日

「着物をお召しになるうちに・・」


ちょっと遅ればせながら・・



皆様あけましておめでとうございます。

旧年中のご愛顧、誠に有り難うございました。



今年も、皆様にお着物を楽しくお召し頂く

お手伝いを出来ればと思っておりますので

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。




東京のお正月はお出かけになりやすいお天気だった事もあり、

お着物姿の方をずいぶんと沢山お見かけ致しました。



お正月に限らずに、この数年はお着物をお召しになる方が

ずいぶんと増えてまいりました。



今までお召しにならなかった方が、

「あ、着物っていいな・・」そんな風に思って着始めてみる。

急に街中にお着物姿の方が増えてきたように感じる時期もありました。



お召しの方が増えてきた数年前には

「着物ブーム」という言葉もよく使われておりましたが

この何年かでその雰囲気もまた変わってきたような気がします。



「とりあえず着物を着てみたい・・」そんな気持ちから

お召しになって着慣れて行くほどに、ご自分なりの着こなし方が定着してきて

「じっくりとマイペースで着物を楽しむ・・」 そんな着方に移ってきているような気がします。



お店においでになるお客様からも

「着始めの頃は、とにかく何でも欲しいのよね・・」そんなお話もよく伺いました。



でも段々に自分の好みが決まってくると、じっくりお品を選べるようになられて

お持ちのお品同士のコーディネートもしやすくなって、

たまには、いつもとちがう雰囲気の品を加えてちょっと遊んでみたり・・



そんな風に、ちょっと気持ちに余裕を持って

お着物をご覧になれるようになってくるのだと思います。




  「お召しになるうちに・・・ 」

      お着物を楽しむには、そのことが一番大事な気がします。




メールで頂くお便りや、お店においでの方からも

「取り合わせが難しくて」 「どこへどんな着物を着てゆけばよいのか」「季節感や時期がよく分からなくて」

そういったお話を伺う事も多いです。



そんな時にお話しするのは、

「余り難しく考えずに、まずは気軽にお召しになって楽しみましょう」という事です。



お召しになっていると、街中のお着物姿の方にも目がゆき

「あ、あの取り合わせはいいな」 とか 「この席に、あの雰囲気は余りあっていないな」 とか

ご自分の中で、しぜんに涌いてくる気持ちや感覚があるはずです。



ご自分の中のその感覚を大事にしながらお召しになってゆくと

それが積み重なるうちに、だんだんに自分なりの着こなし方が出来てまいります。




以前は、お家の中でお母様やお婆ちゃま、ご近所のお着物の好きな方などから

色々なアドバイスがあったのでしょうが、時代も移り変わり 身近にそういった方が少なくなって

お着物を着始めようという方は、

まず本を読んだり、ネットで調べたり、まず知識を付けてからという方が多いと思います。



でも、所詮は着るもの

お一人ずつのお好みもありますし、暑さや寒さの感覚も人によっても違います。



もちろん、あまりに崩すと、品格や季節感など

せっかくの日本の着物ならではの魅力も失われてしまいますので

基本の暦や、TPOだけをご自分の中でふまえた上で

あとは、前に書きましたように 

 「お召しになるうちに・・」 できてくる感覚を大事にして

お楽しみ頂ければと思います。




永く楽しんでいるうちに、

ご自分の中の感覚も自然と変化してきたり、好みも変わってみたり

そんな自分の中の着物の歴史を振り返ってみるのも、

ご年配になってからのまた楽しみかもしれません。



特別な物ではなく、

「今日は着物、明日は洋服・・」そんな風に

ご自分の生活の中に自然と着物のある一年になりますよう

お楽しみになって下さいませ。



玉川屋も一生懸命、お手伝いをさせていただけますよう頑張ります。

本年もどうぞよろしく、お願い申し上げます。



小寒、大寒と寒さも増してまいります時期です、

皆様お体にも十分にご自愛の上お過ごし下さいませ。




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