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「江戸小紋の工房見学」

江戸小紋の工房見学に行ってまいりました!


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江戸小紋の工房見学のご報告 2


わざと透き間を空けて、ずらして糊を置いてもらったのですが

赤丸を付けたところにあるちょっと目立つ点が「星」と呼ばれ、

型紙の両端に柄に混じって彫られています。

型紙の両端のこの「星」を合わせながら型紙を生地に置くことによって、

柄がずれる事なくきちっとつながって行くのです。

(こうして書くと、簡単そうに思われるでしょう。

 その簡単そうに見えることがいかに難しいか、

 一反柄を付けおわるまできちっとそれを続けること、

 そんな手仕事の、奥深さを今回は感じて頂けたようです。)

きちっと継いで置かれた柄です。

型紙の継ぎ目が分かりますか?

1反の生地の長さは約12メートル、生地を張る板の長さはその半分くらいですので

板の片側の端は削られてとんがっており、

半分糊置きされた生地は残りを染めるために、反対側に引き替えされます。

糊置きのおわった板は、天井からのフックにかけられて置かれます。

板が反ったり曲がったりすると綺麗に染まらないため、厚みも大分あるその板を

一日何回も頭より上に持ち上げなければならないんです。

(写真の板の下に皆さんのお顔があるのが分かりますか?)

工房の上には、染められた生地の張られた板が並んでいます。

先ほどの柄よりずっと細かい、菊の模様の江戸小紋です。

この柄は、型紙が伝統工芸展で賞を取ったというこの染め屋さんの自慢の型です。

型紙を使っての糊置きに使う糊です。

白い生地においたときに柄が分かるように、わざと色を付けてあります。

小紋の染め付けには、先ほどのように渋紙を使った手彫りの型を使う以外にも

上の写真のような、スチールの枠にビニールのフィルムを使った型もあります。

極と呼ばれる細かい柄は、手彫りの型を手で染め付けないと染めることが出来ませんし、

染め上がりの雰囲気も、手彫りの型紙の方がもちろん味があって素敵です。

フィルムの型の方は、その分お値段もおやすく出来るようになっております。

どちらの方が良いというのではなく、それぞれの型の着方のスタイルに合わせて

(「味わいの手染めがやっぱり良い」という方もいるでしょうし、

 お茶のお稽古などでしょっちゅう着るので汚れの心配など考え、

 「手軽なお品がよい」と言う方もおいでと思います。)

ご自分なりに、よく考えてお品をお作りになるのが一番です。


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