夏場のお直し その二 羽織の丈のばし
'2009-06-26 14:27:02')
こんにちは、玉川屋呉服店の石井貴彦です。
昨日の、直し物の続きを・・・
お直しの時に困るのが、以前の丈の短いお羽織です。
腰にかかるくらいの短めの丈で、ヒョッと羽織ってお出かけになる
そんな着方の多かったお羽織ですが
今は逆にちょっと長めにドレッシーに着たい、そんなお好みのようです。
羽織の上に、もう少し丈の長めに仕立てたコートを、
寒かった時にはそうして重ねた事もあったようですが
最近は、東京では真冬でもそれほどの寒さを感じる事は少なくなりましたので
少し長めのお羽織で、冬もコート兼用にそんな感覚でもあります。
せっかくお手元にあるお母さまの羽織、
何とか直して着られるようになるものか?
とお持ち下さる事も多くあります。
羽織は身頃の部分は表地の生地を裾で折り返して
裏地として使って仕立てておりますので
それを表に伸ばせば、長い丈に仕立て直せるような・・そんな気がしますが、
困るのは、衿の長さがそれほど伸ばせない事です。
裾からぐるっと回って反対側の裾まで、長く繋がった羽織の衿
裾の部分を触ってみて下さると、生地の厚みで縫い込みの分量が分かるかと思うのですが
衿にはそれほど縫い込みの長さがないのです。
身頃は伸ばせても、衿はそれほどに伸ばす事が出来ず、
そこで困ってしまうのです。
一度機会があったら、仕立てを解いたお羽織の衿をご覧になってみて下さいませ。
細い衿の中には、元の巾の生地をそのまま畳んで仕立ててあります。
アバウトな書き方にはなりますが、
それを半分の巾に裁って繋ぐと倍の長さになります。
本来なら一本の衿の生地に、背中心に縫い目が出てしまいますが
柄の入った小紋調の生地ならそれほど目立ちもしない事と思います。
薄くなった分、中に芯を入れてお仕立て直します。
身頃は、裏地を表にかえして
(その分、羽織り裏の生地が足りなくなるので、長めの新しい羽裏に交換します。
脱いだ時の羽裏の分量は、本来より大分裾の近くまで来ますが、そこはしょうがありません)
衿は、生地を割って長く伸ばして、
勿論、お品の具合によって出来る、出来ないはありますが
これも一つの方法になります。
割った細い衿分は、衿丈を伸ばすのではなく
袖付けの縫い込みのない羽織の裄を伸ばす時に、割布として使った事もあります。
本来なら、しない仕立て方でも
「母のこの柄が好きで、何とか着てみたい」そんなお話の時には
色々知恵を絞ってみます。
気に入ったお使いになれるお品は、大切にお召しになって、
その分、何か新しいお品をお作りになる時には、
大事に長くお召しになれるお品をお探しになるのが
愛着のあるお品が、しぜんと揃って行く道と思います。
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