トピックス、着物つれづれなるままに



お着物や和のものについてのトピックスなど、
思いつくままに色々書いています。

ご感想やご意見なもぜひお寄せください。

なるべく頻繁に更新するように頑張ります。
おいでになったら再読み込みして下さい。

 

 

このページは、2007年5月の「着物つれづれなるままに」です

   「十三詣り」

   「薄物へのお誘い・・」

 




5月22日

十三詣り


皆様いつも有り難うございます

玉川屋呉服店の石井貴彦です。



お宮参り、お食い初め、七五三、など、お子さんの健やかな成長を願う節目も色々ございますが

私共でも四月の末に娘の十三詣りを浅草の浅草寺さんでしてまいりました。


   クリックすると大きな画像でご覧頂けます


十三詣りは、数えの十三才を迎えた子供が(男女ともに)4月13日(旧暦の3月13日にあたります)に

虚空蔵菩薩様にお詣りする行事です。



元服を迎え大人となった事に感謝して、智恵の神様である虚空蔵菩薩様にお詣りをする事が由来のようですが

数えの十三才というと、ちょうど小学生から中学生に変わる時期でもあり

現在でも心身共に子供から大人への移り変わる節目の時期の行事となります。



虚空蔵菩薩様とは「虚空を蔵とせるが如し」、広大な宇宙のように限りない智恵と慈悲を持った菩薩様で

福徳と智恵を授かるための十三詣りの事を「智恵詣り」と呼ぶ事もあるようです。



そのため、

自分が大切に思う漢字一字をしたためた紙をお参りの時にお供えをしたり・・

授かった智恵をお返しする事になってしまうので、お詣りの後にお寺を出るまでは、振り向いたり、口を開いて話をしてはいけない・・

といった、他の節目のお詣りとは違う風習もあります。



中学生とは入っても、まだなにぶん子供の部分も沢山ありますので

ついつい話したり、振り向いたりしそうになりながら、歩いてまいりました。

 (下の娘が、話しかけたり後から引っ張ったり、いたずらしていたのですが・・)




本来なら4月の13日が十三詣りの日なのですが

家族の都合がなかなか合わず、お参りに伺ったのは4月末のゴールデンウィークの最中でした。

お天気の良い事もあり、浅草寺の境内はとても沢山の人手があり、お着物姿の方もずいぶんと多く見かけました。



私も子供の頃に浅草寺さんにお詣りに伺った覚えがありましたので

娘もその年になったら十三詣りにと思っておりましたが、

娘が着物を着て歩いていると、

すれ違う方からは「きょうは何の日?」「七五三?」なんて声が聞こえてきたりも致しました。



行事自体は、京都・嵐山の法輪寺がよく知られ、関西では盛んに行われるようですが、

東京では最近はずいぶん増えてきたとの事でしたが、まだまだ多くはないようです。



それでも、四月の最後の日曜日とはいえ、お詣りのために本殿の中にはいると

十三詣りの順番を待つ何組かのご家族とご一緒になりました。




せっかくならと、お参りには家族みんなで着物を着てまいりまして

娘二人には、下の娘は数年前の七才のお祝いの時の着物を着て、

十三詣りの上の娘には、可愛らしい小紋の着尺を袖を長く仕立てて着せてまいりました。



大人の方がお召しになっても良いような

綺麗な色目の水色に大きな飛び柄の小紋なのですが

緋色の八掛をつけて、唐織りの丈二の帯、

襟元には華やかな刺繍の半衿に赤い伊達襟、そんな風に色を使うと

ずいぶんと可愛らしい着物になります。

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用尺のたっぷりとある小紋の着尺を使いましたので

大人になったら八掛の色目を共色に変えたり

可愛らしい羽織りにお仕立て直したり、といったこともまた出来ます。



お客様のお着物や、お参りの方のお着物を拝見していると

お振袖を寸法をスリムにお仕立てしたり、

私共のように小紋の着尺を使ったり、

お母様のお着物をお直ししたり、

ご自分のお好みで誂えで一からお染めをしたり・・

それぞれの想いにあわせて、色々なご用意の仕方がございます。




最近はその年齢でも背の高いお嬢さんも多くなってきました。

身丈は用尺が足りるのですが

十三詣りはまだ肩揚げをしてお召しになるので

裄の寸法が足り無くなる事もあります。



体格的にはまだ細いので、肩幅をあまり広げるわけにはゆかず

その分裄を広げようとすると袖幅をずいぶんと広くしなければならず

生地幅が足りなくなる事もあります。

裄をいっぱいにしても、肩揚げも少ししかとれないと

揚げしてつまんだ部分が持ち上がってきてしまう事もあります。



ご年齢と言うよりは、その方その方で皆さん体格もずいぶん違ってまいりますので

お召しの雰囲気もまた、子供らしい可愛さが残る方があったり、大人っぽい方があったりと

ちょうど、移り変わりの年代である事をそんな事からも感じます。




仕事に、学校にと、普段は日々を忙しく過ごしてゆく毎日なのですが

娘の十三詣りのために、親子、祖父母、曾祖母など家族が皆集まってみると

本人のお祝いというだけではなく、皆が日々を無事に過ごせている事のありがたさも感じます。



当日には、家族揃っての集合写真も撮りました。

その前の日には、生まれた頃のお宮参りや、入学祝い、七五三・・など

それぞれの節目に撮った写真を見返していたのですが

子供の成長はもちろん、親や祖父母が段々に年齢を重ねてゆく

そんな家族の流れにも、あらためて気づいてみたりもします。



私共は呉服屋ですので、ついついお着物の話をお書きしますが

まずは、皆が自然と揃って集まれる、そんな日がもてる事が大事な気がします。




十三詣りの着物を解いて、八掛を替えて仕立て直して・・・

いま書いているような事を思い出しながら

何年か後にはそんな事をする日がくるのだろうと思います。

 (もしかしたら、私ではなく娘本人が自分でしているかもしれませんが)




とりあえず、一つの節目が終わると、一つ責任を果たしたような、

何かホッとした気分になります。



特に十三詣りは、子供も七五三の頃ともちがい

もう色々な親の気持ちも自然と伝わる年頃になってきているとも思います。

お母様のお着物を直してみたり、

そんなお話を一緒にし始めてみるのもまた楽しい事かもしれません。



玉川屋でお役に立つ事がございましたら、どうぞお気軽に何でもご相談下さいませ。




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5月15日

薄物のお誘い・・


皆様いつも有り難うございます、玉川屋呉服店の石井貴彦です。



暦の上では春を迎え・・  暦の上では夏を迎え・・

立春や立夏といった節を迎えると、手紙や文章にも

そんな書き出しをする事が多くなります。



「暦の上では・・」のとおり、じっさいには季節の変わり目で

夏を思わせる暑い日もあれば、肌に涼しいくらいに陽射しがおさわった日もあります。



普通に過ごしていれば、「今日は暑い日だね」、「きのうよりは涼しいね」

そんな風に思うだけで、毎日は過ぎてしまうのかもしれませんが

暦や節季があることで、日々の流れに一つの区切りがついてまいります。



暦の上では「夏」の最初の日より、「春」の最後の日の方が暑かったり・・と

実際には、暦を境に急に夏へと変わるわけではありませんが

何か自分の中で、変わってくる気分がある事と思います。



二十四節季や月名など、決まった節目の事もありますし

今年初めて単衣の着物を着た、薄手のカーテンに替えた、夏布団に替えた、

そんなきっかけで、気持ちの中の季節が変わってくる事もあるはずです。




呉服屋のお店の中にかかる着物や帯には

色や柄、生地風や素材感など季節感のはっきりしたものが多くあります。

玉川屋でも、5月に入った日から店内の飾り付けを薄物へと替えてまいりましたが

店内の雰囲気も軽く、千鳥や蜻蛉、鷺草・・そんな涼感のある柄が並び始めると

毎日過ごすお店の中が、季節本番に一足早く夏の季節へと変わった気がします。



 立て絽の生地の夏の染帯です。
(クリックすると大きな写真でご覧頂けます)



おいで下さるお客様にも、そんな雰囲気は感じて頂けるようで

「ずっと忘れていたけれど、こうしてみると、やっぱり夏の着物が一番好き」

そんな風にお話しされる方もあります。



着る期間が短いかな、と 季節感のはっきりしたお品は

普段ならお作りになるのもちょっと迷ってしてしまう事もあるかもしれませんが

これからの時期の着物や帯は、ぎゃくに目一杯その季節らしさをお楽しみになれるお品ばかりになります。



絹の生地でも、絽や紗、その絽でも絽の目の広さも色々あったり、紋紗があったり

加えて麻やシナのシナの自然布など、その素材自体もとても多種多様になってまいります。



袷の襦袢から単衣の襦袢に、さらに着物が袷から単衣に替わると

身も心もとても軽快な気分となってまいります。




見た目も、気持ちも、自分の中で心地よく・・

一度夏のお召し物を楽しまれた方は、きっとそんな感覚がご自分の中で残っていて

お店で涼感のあるお品がふっと目に入った時に

さっきまで忘れていた、そんな薄物の心地よさを思い出すのではないでしょうか。





まだ夏物はお召しになった事がない方、

今年は浴衣から夏の着物にデビューしたい、といった方から

小千谷縮みや絹紅梅から初めて、今年は絽の小紋に、

お家で洗える麻の生地をメインに夏は毎日着物で・・そんな方まで



お話をしていて、一番感じるのは

夏に着物をお召しになっている経験が長い方ほど

自由に楽なお召し方ですごされている、ということです。



着る前の方や着始めの方ほど、

「夏でも、着物はこうして着なければいけない。   でも、そうすると夏の着物は暑くて・・・」

そんな思いが強いように感じます。



タオルなどの補正は入れない、張りがあって涼しい麻の襦袢を着て・・

そういったところから

うそつきの襦袢を使ってみたり、色々な長襦袢の素材を試してみたり、

肌着や裾よけも当てなかったり、逆にあせ取りのパッドの付いた肌着を使ったり、付け帯を使ってみたり・・



どの着方がよいとか悪いとかではなく、毎年お召しになる中でご自分なりに色々試してみて

楽に心地よい、自分なりの夏の過ごし方を見つけてゆく・・



やわらか物でも、夏の織物でも、麻の着物でも、浴衣でも

あまり難しく考えずに、まずはお召しになって、色々な方から夏の着方を伺ってみて、

そうして毎年お召しになってみると、

夏が一番着物を楽しんでいる季節・・・ そんな風になっているかもしれません。




玉川屋も、夏の薄物が大好きなお店でもあります。

薄物デビューの方も、夏着物のベテランの方も

冷たいお茶でも飲みに、お気軽にお遊びにおいで下さいませ。




春から夏への移り変わりの季節はお出かけにも心地よい時期でもあります。

ぜひお気軽にお着物お楽しみ下さいませ。



単衣にお召し替えされた時には、

袷のお着物のお手入れなども、どうぞお気軽にご相談下さいませ。




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